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「面を上げよ」


 そう言われて、俺は顔をあげる。けど横を見ると魔王の奴は最初から腕を組んで仁王立ち、まさに不遜を絵に描いた様な態度をとってた。こっちはちゃんと跪いてるのに……こいつは……


「すまんな、我は下げる頭など持ち合わせてないのでな」

「いや、結構。お礼を述べるのは我々なのだ。形式的にやったが、もうよいですぞ勇者殿」

「すみません……それではお言葉に甘えます」


 俺はそう言って立ち上がる。豪奢な椅子に座ってるその人が、このアズバインバカラの街を治める『バジュール・ラパン』その人だ。あのサソリをジゼロワン殿が倒した後、直ぐに我々はこの宮殿へと呼ばれた。ジゼロワン殿も外の広い庭の所にいる。だが彼は流石に中に入る事は出来ない。なので外に居て貰ってる。けど彼なら、外に居てもこちらの会話はわかってるんじゃないだろうか?


 立ち上がり、周囲を見る。バジュール・ラパンさんはとても友好そうに見えるが、他の人達はかなりこちらに不満というか、不信感かあるみたいだ。まあ当たり前だろうけど。


「あなた方がいなければ、この街は滅んでたかもしれません。本当にありがとうございます」

「いえ、あの巨大な化け物を倒したのは我々ではなくてジゼロワン殿なので」

「あの外の巨大な存在ですな」

「ええ」


 そう言って彼はジゼロワン殿に頭をさげる。するとこの場の全員がなんか渋々ながらも頭を下げた。どうやらトップが頭を下げたらそれに追従しなくちゃいけないらしい。


「それであなた方は――」

「それは儂が説明しましょう領主殿」


 そう言って出てきたのはジャル爺である。おい……何を説明……とか思ってると、彼は大仰に言葉を紡ぎ出した。


「あれはそう、儂がこの世の終わり、そして人生の終わりを覚悟した時ですじゃ……」


 まだ一日も経ってないことを、まるで大冒険でもしたかのように話すジャル爺さん。そしてそれに聞き入る周囲の人々。


「つまりこの方々は我らを……いやこの世界をお救い出すために天から使わされた方々なのですじゃ!!」


 そう言ってジャル爺さんの話は終わった。今のに感銘を受けた人も居るようたが……疑いのまなざしを向けてくる人達もいる。確かにジゼロワン殿があの巨大な化け物を倒したから一定の信憑性はあると思う。だが、それだけでは俺達にそれだけの力があると示したというか……ジゼロワン殿にその力があると示しただけ……


「あの外のジゼロワン殿はどういう存在なのですかな? あなた方が操ってるのですか?」


 そんな事を言うのは周囲に控えてる多分この街のお偉いさんの一人。うーん、なんと言うのがいいのか……そんなことを思ってると、魔王がアホな事を言い出した。

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