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「なんだあれ？」
そんな風に思わず呟いちまった。なにせ今起きた事が信じられないからだ。そして今目の前に見える光景も大抵信じられる物じゃない。だが……真実だ。そして現実だ。俺は今日、このアズバインバカラは終わるんだと思った。ジャルバジャルの様に、砂獣に蹂躙されて、世界は更に砂で 溢れるんだと……そう思った。
（だが、そうはならなかった）
砂の向こうから音と振動を伴ってそれが歩いてくる。巨大なそれだ。砂埃の中、シルエットが浮かび上がる。だが恐怖はない。なにせ、それがこの街を救ってくれたのだから。脳天から体内を貫通された砂獣は砂の上で消え去っていってる。だがその中にも消えない物はある。
それは砂獣の核だ。いままで見たこともなかった位に大きな砂獣だったんだ。きっととんでもない核があるんだろう。だがそれは一体どうするのか……砂獣が倒されると同士に、空に広がっていた黒い雲が晴れていつもの照りつける太陽が顔をだす。早くここまで到達しろと、いつでも俺達を待ってる其れが顔を出した。でも今は……そんな恨み言も忘れてその存在を大いに照らし称えてるのに役立ってた。
沸き立つアズバインバカラの街から、二つの人影が飛び出した。そして彼等は地面に着地することなく漂ってる。砂獣が現れる前から町中が騒がしかったが、きっと彼等のせいだろう。近くまで歩いてくるそれを見上げると、やはり大きい。だがそれは手前で立ち止まったままだ。
「おい！ 手を貸してくれ！！」
そんな声が崩壊した区画の方からきこえる。確かに砂獣は倒した。けど、被害がなくなった訳じゃないんだ。あの砂獣はこのアズバインバカラに甚大な被害をもたらした。沢山の命を奪った。この何者かわからないやつらば気になるが、今はまだ生き残ってる奴らを助ける方が先決だ。
俺はわからないだろうが、ここの礼を取って街へと戻る。だがその時だ。其れが手をかざした。そしてなんか「ポニーーー」とかいう変な声が聞こえたと思ったら、瓦礫の中から光に包まれた人達が出てきた。そして何やら怪我も治ってる。
「奇跡だ……」
誰かがそういった。だがそう思うのも無理はない。なにせこんな事が……こんな所業が可能な奴が沢山居るわけがない。俺達は……いや近くの奴らは全員、その者に最上の礼を取った。天に両手を掲げて、歌を歌う。それが我らが最上の礼だ。
後方から何やら軍が来てたが、そんな奴らにかまってる暇はなかった。誰もが、この街のお偉いさんよりも、自分たちを救ってくれたその者に感謝を捧げてたんだ。
