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「一体に何が……」


 私はこの『アズバインバカラ』を統治する総統『バジュール・ラパン』その人だ。色々と慌ただしい気ヴイと言う日だが、今は更にそれが酷い。だが、これは仕方ないだろう。なにせ私もベランダから身を乗り出してそれが落ちた方へと目を向けている。すると次の瞬間、この宮殿に瓦礫が飛んできた。そしてそれは敷地の建物を壊し、悲鳴をここまで届ける。


 冷や汗が流れた。今まで私が前線に出る事なんか……それこそまだ先代がいたときに、ブイブイと言わせてた以来だ。近々死などというものと遠ざかってたからか、かすりもしてないのに、心臓が早鐘を打ったようになってる。


 そして次の瞬間、砂埃を吹き飛ばしす程の不快な声を発してそれが姿を主張して現れた。


「ぐっ!?」


 思わず耳を押さえなければ、鼓膜が破れてしまうんじゃないかと思うほどの大音量だ。頭がビリビリ揺れるかのようなそんな感覚が襲ってくる。この距離でこれなのだ。あれに近い人達は耐えきれずにこの音だけで、犠牲になってしまってる人々がいるかもしれない。


 こんな……膝を折って床に手をついてる場合ではない!! 私は指導者としての矜持を燃やして同じように床に膝をついてる部下達に指示をだす。


「緊急時対宣言だ! 軍を動かせば。今すぐにあれの討伐と、市民の誘導を。賞金稼ぎの連中も駆り出せ! 資金に糸目はつけん。なにせあれを倒せなければ、アズバインバカラはジャルバジャルの二の舞だからな!!」


「「「はっ!!!」」」


 皆辛いだろうが、それでも私の指示に動きだしてくれる。後は皆を信じるしかない。私はただ最初の指示をするだけだ。それがトップの役目という物。最初に決めて最初に決断して指示を出す。細かいところは現場を知ってる奴らに任せる。

 余計な口は出さない。それが最良だと長年の経験が物語ってる。そして後からなにか言われば、それは私の責任だ。その覚悟かある。私はこの地位にしがみついた事など、一度もない。だが……ここが私の居る場所なのだと、生まれた時から教育されてきた。


 だからその為の役目をやってるにすぎない。


「アレはなんだ?」


 再び、私は黒い服に身をつつんだ怪しげな老婆にそう問いかける。こやつは……こやつだけは皆が地面に膝をついてる時も一人だけ無事だった。怪しいとは思ってるが、それでもこやつの助言は助かる物が多い。だからついつい求めてしまう。


「あれは異例に異例をぶつけた物……ではないでしょうか?」

「異例? あの空を飛んで来たものか?」

「左様です。どうやら私達だけではなく、砂獣もきゃつらに注目してるようですな」

「それではまるで、砂獣に意思があるかのような言い方だな」

「ありますじゃよ。奴らの意思はただ一つ。この世界を終わらせる事。それだけですよ」


 そういって「ふぇっふぇふぇ」と笑う老婆。その笑い方に顔をしかめてると、街から大きな影が飛び上がる。それは今話題にしていた空から来た大きな人だった。

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