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 バラク将軍の攻撃を魔王はその身に一心に受けている。その攻撃はなかなかに速い。それに鋭い。攻撃力もかなりのものだと思う。けどあれでもきっとバラク将軍は全力ではない。余裕が見える。でもそれ以上に魔王には余裕がある。


 なにせ確かにバラク将軍の攻撃を受けてるのに、その体には傷一つついてない。今のままでは彼の攻撃はなんの意味もなさないだろう。元々魔王の体は丈夫だが……


(今なら、俺も同じ事が出来る筈だ)


 肉体的に魔王は魔だから、肉体が強かったが、今は魔王も俺も生まれ変わったような物だ。だからこそそこに違いはあまりない。まあ俺と魔王では力の使い方が違うんだが……でも肉体のベースは同じだ。そこに差はない。前の世界のヴァイスという物と、そしてジゼロワン殿の一部……それを掛け合わせて俺達の体は再構築され、そしてそこに魂が定着した。


 前の体とは全くといって良いほどに変わってる。強大な力を得るためにはそれだけ強大な器が必要らしい。でもそればつまり、強さと言うのは器によって大体の上限は決まってると言うことの表れだ。一つの世界を超えた力を手に入れるには、そもそもが力の入れ物の肉体を一度は捨てないといけないという難易度。


 そしてその難易度を超えた俺達に、そもそもがこの世界のレベルでしか得られない力の範囲で収まってる奴らが届くはずがない。それは傲慢な考えではなくて、単純な事実。前の世界ではジゼロワン殿が追いつめられていたが、あれは世界の全ての力を一つに集中してたからだろう。


 生命体が沢山居る世界だと、それだけ世界の力を結集するなんて事は難しくなるらしい。だからサンクチュアリを保持してる者も、きっと今の俺達ほどの力を有してはいないだろう。世界にはキャパシティがある。それを超える事は出来ないのだから。


 だが俺と魔王はそれを超えてる。バラク将軍が魔王に勝つなんて事は何があってもあり得ない事だ。


「なかなかやるな! ならこれは――」

「ふん、こっちは退屈すぎるぞ」


 バラク将軍が更に力を込めてその剣を輝かせてる。でも次の瞬間、その剣の刀身が全て消えた。


「なに!?」

「やはりこんなものだな」


 そう言う魔王の手にはおられたバラク将軍の持ってた剣の歪曲した刀身だけがある。周囲の兵士達が驚愕に目を見張る。だが一人だけ……バラク将軍だけは豪快に笑い出した。


「はははははは! 面白い!! 面白いぞ!! だが、まだだあああああ!!」


 拳を握ったバラク将軍は素早く踏み込んで魔王の懐に入った。その速さは今まで一番と言って良い速さだった。決死の覚悟の一撃を放とうとしてる。でもそれは無意味だ。それに魔王の奴、バラク将軍の攻撃に遭わせてカウンターを狙ってる。お前の拳一つで、彼の肉体は吹き飛ぶぞ。


 俺は二人の間に入ってその拳を受け止める。


「そこまでだ。勝負はもうついた筈です。命を無駄に捨てる気ですか?」


 彼は……バラク将軍はきっとわかってる。これだけの武人だ。わかってないはずがない。力の差ははっきりとしてる。それを彼は認めるべきだ。止まるように、俺はバラク将軍を強く視線で諫めるよ。

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