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 腕に黒い岩の手錠をはめられる。何やら力に干渉する様な……そんな違和感がある。でも……


(壊せそうかな?)


 俺はそう思った。確かに何か力を阻害するかの様な変な感じだが、それでも今の俺の力を完全に押さえ込むなんて事はこんな手錠程度では出来ないと感じる。今は俺も魔王も力が満ち満ちてる。魔王ではないが、暴れたいと……ちょっとは思う。この世界に来る前にも前の世界で魔王とかなり暴れて来たんだけどな。結局どっちが上かの決着はつかなかった。これだけの力だから、魔王の奴はジゼロワン殿にも挑んでた。

 まあ俺自身もそれに興味がなかたっと言えば嘘になる。なにせちょっと前までは得たいの知れない強大な力の化身……それがジゼロワン殿だったからだ。でも俺も魔王とも世界の力をまるごと手に入れた。それは自分でも想像が出来ない程の強大な物だ。神とも呼べる存在に届くか、試してみたくなるものだろう。まあ結論からいうと、俺も魔王もジゼロワン殿には更に頭が上がらなくなっただけなんだけどな。


 最初はなかなか良い感じだ魔王は攻めてた。それは確かだ。だが、突如力がいきなり押しつぶされたというか、体の自由が制限されたんだ。それは自分の意思ではどうしようもないことだった。どうやらこの体はジゼロワン殿の体の一部も使われてるから、それが影響してるらしい。前にジゼロワン殿は俺と魔王が合わさって剣になったといってた。どんな妄想かと思ってたが、今の自分たちには、その機能とも言うべき力がちゃんとあるとわかる。しかもそれが自然に出来るんだよな……もしかしたら今の自分たちはジゼロワン殿の装備が体の形を持って自立してる状態なのかも知れない。

 だから持ち主であるジゼロワン殿には逆らえない。それに魔王は不満たらたらで、どうにかしてその呪縛から逃れる術をさがしてる。そんな魔王はつけられた手錠をぶっ壊して一悶着起こしてた。


「なんだと? まさかバクロックの戒めを壊しただと!?」

「ふん、なんだそれは? こんなの物で我を押さえられると思うなよ」


 おいおい、無駄にもめ事起こすの止めて欲しい。仲裁する身にもなれ。魔王を取り囲むようにして兵士達が槍をむける。その顔には恐怖が見える。得たいの知れない俺達に、あのバラク将軍以外は恐怖を抱いてる。


「こ、こうなったらおふたがたの力をこやつ等に見せるのも手やもしれまぬ!!」


 なにこのお爺さんまでいいだすのか。どうやら俺達に助けられて、信仰しちゃってるから、俺達が不当に扱われるのに憤りを彼は感じてるらしい。でもそんな事はできない。なにせ俺達は別にこの世界をメチャクチャにしにきたんじゃない。チラリと俺はジゼロワン殿をみる。さっきからあの方は動かない。それが答えだ。俺達は上手くこの世界の人達に溶け合うんだ。そしてサンクチュアリ保持者を見つけて、それからこの世界を……うん、この世界をどうするのかはよくわからないが、きっと悪くはしないだろう。聞いた所、この世界は時限爆弾みたいな物だ。それをどうにかする気なのかもしれない。

 そのくらいジゼロワン殿にはきっと出来る。自分たちの世界は救うことができなかったが、この世界なら……そして今なら、救うことが出来るかもしれない。

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