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専属騎士

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「では、そろそろ本題に入りましょうか、あなた?」

「そうだな…

 アクタガワ様、娘の専属騎士になることを考えてはくれないだろうか。」


 え?

 わたくしそんなこと一度も聞いてないんですけど…

 ちょっとお母様お父様ー、そういうのは事前に言ってもらわないとポカーン、という顔をしてしまった私をリンが笑うんですよ。

 とても笑顔で笑うんですよ。

 四歳児(妹)の手の上で遊ばれている気がとてつもなくするのですけど…

 私の心の危機が迫っているような気がするのですけど…!!



「ぅえ、俺?」

「…ああ、そっか。舞踏会パーティーで派手に犯罪者を倒したから、ですね。

 私は一応王家の方に優遇されていますが、アクタガワは後ろ盾となる人物がいない、と。

 そして、あの状況で迷わず敵の隙をつく動作と圧倒的な力…アクタガワを自分の味方に引き入れることで領地問題や資金問題を解決しようとしている人達が早くも動き出しているのでしょうか。」


「ええ、話が早くて助かります。

 確認できただけでも、もうすでにディクレッシェンド伯爵、マイナール子爵、トートルー子爵が動き出しています。

 私たちは、大切な娘を救ってくださった恩人が、権力争いに巻き込まれてしまうのを見過ごすようなことはしたくないのです。」

「当然、決めるのはアクタガワ様で構わないのだが、どうだろうか」


 つまり、動き出してる伯爵と子爵は、貴族のあいだのドロドロした権力争いに圧倒的な力を持つ、アクタガワ様を味方につけることで、相手を威嚇しようと企んでるってことですかね…

 あわよくば、平民に、逆らえばどうなるか分かってるのか?とでもいうようにして税を増やすつもりなのでしょうか。

 アクタガワ様の意思は関係なしに、例えば親しい人物などを人質にして、力を振るうよう命令されるかもしれない、と。


 そして、牧師様の友人とはいえ、繋がりはそれだけです。たとえアクタガワ様が利用されていても、牧師様は迂闊に手は出せない、ということですね。




 そして私の専属騎士にならないか?と言ったのは、公爵、つまりお父様に仕えるのではなく、あくまで私に仕えさせることでお父様の周りで起こっている権力争いには関わらせないようにする、と。


 私は公爵令嬢なので、伯爵子爵も手を出せないようになり、そして公爵令嬢の専属騎士、ということで後ろ盾はもちろん、身分も保証されるってことですね。



 ただ、もしアクタガワ様が何かしら無礼な行いをしてしまったりすると、責任はお父様ではなく私が取らなくてはならなくなる、と。

 つまり、アクタガワ様の評価が下がればそれだけ私の評価も下がるということ。

 ちょっとお父様お母様…私、一応十一歳ですしあなたがたの娘ですよね…。

 これ、ちょっとハードすぎじゃないでしょうか?それとまた妹が声を出さずに笑ったんですけど。



「少し、考えさせてもらっても?」

「ああ、構わない。」


 お父様が承諾するとアクタガワ様と牧師様は話し始めます。

 それからだいたい二分か三分ぐらいでしょうか、牧師様が、


「少し、条件を付けさせてもらってもいいでしょうか」

「条件によるが、いいだろう」


「では、まずアクタガワはずっとお嬢さんの護衛をするのではなく、あくまでお嬢さんが呼んだ時のみ護衛すること。

 そして、給料は護衛が完了した時にその場で払うこと。給料のほうはそちらで決めて構いませんが、護衛した分と釣り合うようにしてください。

 騎士になるために必要な資金、騎士団の服にかかる費用は全てそちらで払ってください。

 その代わりと言ってはなんですか、住む場所と武器については全て私が担当します。」


「大丈夫だ、それで構わない。詳細は明日話すので、都合のいい時間を教えてくれないだろうか。」


「では、明日今日と同じ時間で。」


 そして次の日、お父様と牧師様で話はまとまり、アクタガワ様…いや、アクタガワは私の専属騎士になりました。

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