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チンピラ遭遇

 たった今思い出したことーーー裏ルートと魔王の存在について芥川に言うと、芥川はブツブツと言いながら何か考え始めました。

 今はまだ昼…ですが、さっきまで感じていた食欲が嘘のように消えてしまいました。

 周りには人はあまりいません。不気味なぐらいに音がなく、薄ら寒い…あら?

 チンピラとかに絡まれるイベントって大概こういう場所で発生するんじゃなかったですかね…?


「テメーら今、俺の子分にわざとぶつかったな??おいおい、俺ら今から大事な仕事があるんだけどォ、これじゃあ遅刻になっちまうぜェ、なあ?

 おいガキども、金目のもん全部置いていきやがれ。俺は寛容だからなァ、それで見逃してやるぜ?」


 あー…ですよねぇ…。

 明らかにフラグ立ててしまいましたからね。

 ちなみに、絶対この子分とやらからぶつかってきました。というか、真っ直ぐこっちに向かって走ってきたんですけど、なんてわざとらしいんでしょう?

 そして、今地面に転がってますが…痛がりすぎじゃないですか?まるでタンスに小指でもぶつけたかのような痛がり方ですね。

 今私たちの周りに、ナイフ(錆びている)を持った集団がいて、睨んできていますが正直言って全く強そうじゃないです…ナイフの手入れ方法知らないんでしょうか。



「悪ぃ、今考えてるから話しかけないでくれね?」



 芥川がチラッと見て、サラッと言いました。そしてまたブツブツ呟き始めています。

 チンピラに対して騒いでる人程度の認識しか持ってないぽいですね。いや、チンピラより牧師様のことが気がかりなんでしょうか…?

 …私もそうですけど。


 それより、優秀な騎士が近くにいるとすごーく安心ですね。まあ、私だけでも多分大丈夫でしょうけど。

 私は戦いませんが、自分を守る手段が何も無いとは言っていません。…ちなみに、攻略対象は皆チートなので、私では多分負けます。

 いや…事前に準備しておいたら何とか一人ぐらいなら勝てるかもしれません。身分強奪エンドまっしぐらですけど!


「はぁ?おいおい、そこの()()…今なんて言ったんだァ、もっかい言ってみろよ!?こっちは全員成人済みで、しかも凶器持ちだぜ?自分の状況分かってんのか?

 ()()()()()()()()のくせに何強がってんだよ?ぁあん??」


 成人になるのは十七歳を過ぎてからですね。

 つまり、芥川は十七歳以下に見られてると…そもそも本当に二十四歳なんでしょうか。

 まぁ、確かに成人男性のようには見えませんね。牧師様と同い年だそうですが…マジですか?


「『悪ぃ、今考えてるから話しかけないでくれね?』って言ったけど、それがどうかしたのか?」


 芥川は、ムカッとした感情を抑えた顔になってます…すみません、ついつい笑ってしまいました。成人前のガキ二人…私は確かにそうですけど、この世界では芥川は成人してから七年ももう経ってますね。


 ですが芥川のその感情を抑えた顔が怯えてるようだと勘違いしたのか、チンピラ達はニヤニヤ笑い始めました。



「いいんだぜ、強がらなくても出すもん出せばそれでお前らは解放されるんだから。ほら、早くしろよ!こちとら大事な大事な子分がやられてもそれだけで見逃してやるって言ってんだぜ、あぁん??」




「俺は……うよ……だ」

 怒りを噛み殺したような声でぼそっと芥川が何かを言いました。


「はぁ?聞こえなかったぜ?怖気づいちまったかぁ?もう一回、聞こえるように言ってみろよ…ああ、怖くて声も出ねぇのか!」


「ああもうウルセェ!!黙れっての!!」


 ついにキレたのか叫びました。

 その叫び声と同調するかのように、チンピラ達の体が浮かび上がります。驚愕に目を見開き、声を発する前に地面に叩きつけられます。

 あら、痛そう。芥川が得意とする魔法は物体を操ることでしょうか?それとも、重力か、サイコキネシスとかですかね。


「俺はなあ!!!二十四歳だっての!!!立派な成人済みの大人なんだよ、このチンピラ野郎が!!お前らは童顔だったことがねぇんだから俺の気持ちが分かんねぇだろうが、このこと指摘されんのすっごくムカつくんだぜ!!!」


 どうやら凄く気にしてるみたいです。あ、そういや私最初に年齢間違ったこと謝ってませんでしたね。

 とりあえずチンピラ達をロープで縛っておきます。

 …何故公爵令嬢がロープを持っているかですか?私が解くまで絶対に解けないロープをちょうど作ってたところなんです。

 これは失敗作でして…水に触れたら爆発するんですよ。汗でも爆発します。ハサミでも絶対に切れません。


まぁ、それは放っておいて。…チンピラに絡まれたせいで中断してしまいましたが、魔王に対しての対抗策を考えなくては…!







「やあ、そこのおにーさん。アンタ結構強いんだね?…ねえ、俺と戦ってくれないかな?俺、強い奴みるとさ、どうやって潰そうかワクワクしてくるんだよ」


赤い髪、鋭く、獣のように輝く赤い眼。

攻略対象の一人ライナー・キャロルが話しかけてくるまで、私は彼に気づかず考え込んでいました。

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