表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
う゛ぁんぱいあ55  作者: 中澤 悟司
7/20

第7話 同族さんこんにちわ

 夜が明けた。


 昨夜は、というか明け方まで、出歯亀モニターもないと言うことで、久々にリミットブレイクしてしまった。体は若返っても、中身はおじさんな俺は、どちらかというと淡泊な方なんだが、弥生さんの盛り上がりっぷりもあってハッスルしてしまったよ。認めたくないものだな、若さ故の過ちというものを。


 で、艶々?している弥生さんと一緒に、俺はジープで林道を爆走していた。


「ど、どこまで行くんだ?」


 目的地も結局大して確認しないまま、俺は彼女の駆る『超絶技巧』なドライビングにひたすら耐えていた。道が悪いのもあるが、これはちょっと油断すると舌噛みそうなぐらい揺れる揺れる。


「それは、奥地ですよ~」


 何それさっぱり分からん!と抗議の視線を送り、俺は固まった。弥生さん、その胸、やばいよ。まさしくバインバインって感じで縦揺れしてるよ。凄い、でかいと本当にこんなに揺れるんだ~。おじさんびっくりして目が釘付けだ。


「何見てるんですか~!」


 今度は逆に弥生さんが俺に抗議の目線。数時間前まで散々ヤッてたのに、今更恥ずかしがることもないだろう、ってそう言う問題じゃないのか。


 つーか、前見ろ前!


 何度か走馬燈が見えつつも、何とか目的地に着いたようだ。

 いやー、死んでても走馬燈って見えるんだね。おじさんびびった、びびった。ふー、死ぬかと思ったよ。


「ここみたいですね~」


 林道から更に脇道へ入り、狭い道をしばらく進むと、木々に隠れるようにひっそりと小さなログハウスが建っていた。

 しかし、何の目標物も無いのに、良く来られたな。


「そこは女の勘、ですよ~」


 弥生さんがドヤ顔でポーズを取る。いや、それ意味分からん。


 ジープから降りて、ログハウスに近づいた。実は、近づく前から、何だか妙な気配を感じていた。林道から脇道に入った瞬間、何やら違和感を感じたのだが、それはログハウスに近づくほどに強くなっていた。


「おい、何かおかしくないか?」

「そうですか~?」


 訝しがる俺とは対照的に、弥生さんは全く警戒の色も見せずに、ログハウスの扉をノックした。


「はろー、はろー」


 弥生さんの気の抜けた声が森に響いた。程なく、扉が開き、熊が出てきた。


 俺たちは、熊ことモーリスさんを前に並んで座り、出されたお茶をすすっていた。


『遠いところからわざわざ、大変だったでしょう』

「ええ、出国するのにもひと手間でしたよ~」


 ちなみに、俺は英語はさっぱり聞き取れないので、弥生さんに通訳を頼んでいた。彼女は、モーリスさんに英語で話しつつ俺に日本語でも話すという、本職の通訳も真っ青な活躍を見せた。こういうところ見ると、本当は才女なんだなと感じるな。普段はお気楽時々痴女みたいな感じなのにな。


『で、こんな辺鄙な場所まで何をされに来たのですか?』

「その前に、ずばり、モーリスさんはリビドーヴァンパイアなのですか?」


 いきなり核心を突く弥生さん。モーリスさんは、少し驚いたような表情をしたが、すぐに元の雰囲気に戻ると、微笑んだ。


『やっぱり、そうですか。あなたはそちらの方の僕ですか?』

「そうですよ~」

『この場所は、私の僕から聞きましたか?』

「ええ、大体の場所ですけど~」

『そうですか、彼女も気付いたのでしょうね、同族だと』


 モーリスさんは、俺の方を見た。その目は、若干の悲しみと哀れみを含んでいるように感じた。

じ、時間が……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ