第18話 シンクロはヤバいって
一年振り!?
「五月が選んだ男だ、間違いなどあるわけがない」
起き上がった五月パパは、先程までとは打って変わって、とても良い人であった。
「五月は自慢の娘でな」
娘想いの、優しいパパだった。
「目に入れても痛くないくらい可愛い娘だ」
娘を溺愛していた。
「文武両道、器量良し、家事も完璧」
娘を褒めまくっていた。
「妻にする男は、さぞや幸せ、果報者だと、か、うっ」
歯軋りの音がした。あ、なんか泣き出した。
「私の、み、認めた、男でなくては、嫁にはやらぬと、そう、思って、いたのに」
お気持ち察します、こんな訳の分からん自分より年上にしか見えないおっさんを、可愛い可愛い娘が連れて来るなんて、娘の居ない俺ですら想像するだけで、こ、心が痛い!
「ああ、何故、何故!」
頭を抱える五月パパ。俺は、思わず土下座の体勢になる。
「まっこと、申し訳な…」
「人は愛故に、苦しまねばならぬのか!」
は?
「愛故に!」
これは?
「愛故に!」
こ、これは!
「っ!こんなことならば!」
来るッ!
「愛など要ら」
「要らんのはお前の妄言だ!」
今度こそ、五月さんの渾身の正拳突きで、五月パパは吹き飛んだ。あちゃー。
…と思いきや、敵?もさるもの。五月さんの拳の衝撃を逃がしたどころか、受身でコロンと一回転すると、何事も無かったように立ち上がった。
「ふっ、腕を上げたな、五月」
いや、腕とか、そういうレベルでは。不敵な笑みを浮かべる父親と対峙する怒れる娘。い、一体何が始まるんだ。オラわくわくしてきたぞ。
「も、もう、こんな時、どうすればいいのか分からない…」
若干涙目になりながら、五月さんがつぶやく。あ、でもこの流れで行くと、また何か起こりそうな気がする。
そして、五月パパの笑みが優しげなものに変わる。
「…笑えば、いいと思うよ」
10分後、俺は応接室のような場所にいた。残念が過ぎる五月パパは、ただのジ〇リオタクではなく、アニヲタでもあった。しかも若干年代がかぶるので、元ネタがある程度分かってしまう自分が悲しい。まあ、あんまりマニアックなのは分からんけど。
「ごめんなさい、父が、色々とアレな人で」
隣に座る五月さんが、消え入りそうな声で俺に告げる。うん、確かにアレな人だが、まあ、悪い人ではないと思う。
「うふふ、ごめんなさいねぇ。ウチの人、子供っぽいところがあって」
目の前に座る、妖艶な美女、五月ママが口を開いた。
「いえいえ、大丈夫です。門前払いされるかと思っていましたので、ありがたいくらいです」
俺の最大限気を遣った返しに、五月ママはゆったりと言葉を紡いだ。
「いやだわぁ、堅物な五月を『女』にしてくれた方に、そんな失礼なこと。ねぇ?五月」
「お、お母様!」
うふふ、と微笑する母親に向かい、真っ赤になって声を荒げる五月さん。なんか、濃いなぁ、この家族。
もうちっと続くんじゃ




