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う゛ぁんぱいあ55  作者: 中澤 悟司
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第18話 シンクロはヤバいって

一年振り!?

「五月が選んだ男だ、間違いなどあるわけがない」


 起き上がった五月パパは、先程までとは打って変わって、とても良い人であった。


「五月は自慢の娘でな」


 娘想いの、優しいパパだった。


「目に入れても痛くないくらい可愛い娘だ」


 娘を溺愛していた。


「文武両道、器量良し、家事も完璧」


 娘を褒めまくっていた。


「妻にする男は、さぞや幸せ、果報者だと、か、うっ」


 歯軋りの音がした。あ、なんか泣き出した。


「私の、み、認めた、男でなくては、嫁にはやらぬと、そう、思って、いたのに」


 お気持ち察します、こんな訳の分からん自分より年上にしか見えないおっさんを、可愛い可愛い娘が連れて来るなんて、娘の居ない俺ですら想像するだけで、こ、心が痛い!


「ああ、何故、何故!」


 頭を抱える五月パパ。俺は、思わず土下座の体勢になる。


「まっこと、申し訳な…」

「人は愛故に、苦しまねばならぬのか!」


 は?


「愛故に!」


 これは?


「愛故に!」


 こ、これは!


「っ!こんなことならば!」


 来るッ!


「愛など要ら」

「要らんのはお前の妄言だ!」


 今度こそ、五月さんの渾身の正拳突きで、五月パパは吹き飛んだ。あちゃー。


 …と思いきや、敵?もさるもの。五月さんの拳の衝撃を逃がしたどころか、受身でコロンと一回転すると、何事も無かったように立ち上がった。


「ふっ、腕を上げたな、五月」


 いや、腕とか、そういうレベルでは。不敵な笑みを浮かべる父親と対峙する怒れる娘。い、一体何が始まるんだ。オラわくわくしてきたぞ。


「も、もう、こんな時、どうすればいいのか分からない…」


 若干涙目になりながら、五月さんがつぶやく。あ、でもこの流れで行くと、また何か起こりそうな気がする。


 そして、五月パパの笑みが優しげなものに変わる。


「…笑えば、いいと思うよ」

 

 10分後、俺は応接室のような場所にいた。残念が過ぎる五月パパは、ただのジ〇リオタクではなく、アニヲタでもあった。しかも若干年代がかぶるので、元ネタがある程度分かってしまう自分が悲しい。まあ、あんまりマニアックなのは分からんけど。


「ごめんなさい、父が、色々とアレな人で」


 隣に座る五月さんが、消え入りそうな声で俺に告げる。うん、確かにアレな人だが、まあ、悪い人ではないと思う。


「うふふ、ごめんなさいねぇ。ウチの人、子供っぽいところがあって」


 目の前に座る、妖艶な美女、五月ママが口を開いた。


「いえいえ、大丈夫です。門前払いされるかと思っていましたので、ありがたいくらいです」


 俺の最大限気を遣った返しに、五月ママはゆったりと言葉を紡いだ。


「いやだわぁ、堅物な五月を『女』にしてくれた方に、そんな失礼なこと。ねぇ?五月」

「お、お母様!」


 うふふ、と微笑する母親に向かい、真っ赤になって声を荒げる五月さん。なんか、濃いなぁ、この家族。

もうちっと続くんじゃ

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