表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
う゛ぁんぱいあ55  作者: 中澤 悟司
15/20

第15話 安息日を過ぎるとどうなった

 出会った日に俺とステディな関係になってしまったさっちゃんこと五月さんは、ご満悦で帰っていった。

 何でも、これで3徹も怖くない!とか息巻いてた。ワーカホリック、ってやつだったのか、五月さん。

 あ、でもアレだ、そう言えば安息日ルールはちゃんと教えたっけ?


「忘れてた~、テヘッ」


 いや、それ一番大事だろ、忘れたらエラいことになるんじゃないのか。


「さっちゃんのことだから、何かあったら電話してきますよ~」


 大丈夫ですよ~、とか弥生さんは呑気に言ってるが、どうにも嫌な予感が。


 で、嫌な予感というのは、やっぱり的中するもので。

 弥生さんの場合は4~5日で我慢できなくなるとか言ってたのに、五月さんと分かれてから8日経っても、彼女から連絡は来なかった。


「頑張るな~、さっちゃん。私なら絶対無理~」


 弥生さんは相変わらず呑気に言ってるが、この状況、冷静に考えると、単に言いくるめてヤッちゃっただけのような気がしてならないんですが。そう言えば、俺は色んな意味で必死だったので、あの台詞とやらも結局確認してないんだよな。実は、僕認定断ってたりとか。うぎゃー、そうなるとやっぱりあれってただの強制(以下自主規制)


「あ、さっちゃんからだ」


 俺が嫌な可能性に行き着いて悶えていると、休日は相変わらずパソコンにかじり付いている弥生さんがぼそっと呟いたのが聞こえた。どうやら、弥生さんに五月さんから連絡が来たようだ。

 もしかして警察に行くとか、そういう話だったらどうしよう。そうなった場合どうなるんだ。俺ってもう死亡届受理されてるはずだから、公的にはもう死んでるんだよな、確か。そんな人間?が刑事告発されたら、まずは遺族に確認が行くよな、普通に考えて。そうしたら、一部始終は嫁様の知るところとなるわけだな。……よ、嫁様だとっ!


「……すわっ!!嫁様となっ!!」

「えー?さっちゃんからだよ~。ひょっとしてご主人様、いつの間にかさっちゃんだけ嫁認定ですか~?」


 ずるいです~、私も嫁認定してくださいとか弥生さんが言っているが、俺の思考はもはや別世界にトリップして、聞いちゃいなかった。


 しばらくすると、玄関のドアが激しく叩かれた。


「開けて弥生!早く開けて!」


 何だか切羽詰まった声だ。これって、五月さんじゃないのか?


「はいは~い、今開けるから待って~」


 弥生さんがドアを開けると、五月さんが飛び込んできた。獲物を探す肉食動物のような鋭い目できょろきょろと部屋の中を見回している。こ、これってまさか……。

 俺が腰を引き気味にその様子を観察していると、五月さんと目が合った。その瞬間、彼女の目が大きく見開かれた。そして、次の瞬間には、俺はがっちりとホールドされていた。


「ひいっ!」


 怖い怖い怖い!!瞳孔っていうのか、目の焦点というのか、もう若干怪しいのだ。元が整ってるお顔だけに、リアル人形チックでホラー感増し増しな感じがもう駄目。おじさん心臓止まりそう。


「さっちゃん!どうしたの!?」


 あまりの豹変振りに、さすがの弥生さんもちょい焦り気味に部屋に突入してきた。いや、自分も含めて身体能力が若干人外気味なので、ホントすっ飛んで来る感じなんだよ。分かっちゃいたが、実際に目の当たりにすると、ああ人間辞めたんだな、って変に納得、ってそんな場合じゃ無ぇ。


「ちょ、お、落ち着いて五月さん」

「無理」


 俺はしがみ付いている五月さんを剥がそうとしたが、真顔で即答された。あ、そこだけ冷静に突っ込むんですね、ハイ。


 その後、俺は文字通り、貪り喰われた。


 ひと段落着いた五月さんは、今度は弥生さんに詰め寄っていた。


「あ、あなたねっ!そんなことは一番に説明しなさいよ!!」

「え~、そんなに大事なことかな~?」

「当たり前でしょ!一週間以上出張できないじゃない!!」


 そ、そこ?この人もぶれないなぁ。


「体中に紫の斑点が出来たときは、正直焦ったわ。見える部分じゃなかったから良かったけど」

「それびっくりだね~、安息日越えると腐敗しちゃうとは聞いてたけど、あんな感じになるんだね~」


 そう、安息日ルールとかで、あの7日越えると腐るってヤツを、五月さんはいきなり実際に体感してしまったのだ。し、知らないとは恐ろしい。


「しかし、8日も良く我慢できたよね~。私なんて、5日が限界だよ~」


 弥生さんが感心したように言った。感心するところなのか?それ。


「正直言うと、これがどういう感覚なのかも良く分からなかったのよ。何か物凄く乾いてて、飢えてて、満たされたいんだけど、それが何なのか分からずに、一昨日くらいまではきつかったわ」

「え、じゃあ昨日からはどうなの~?」


 弥生さんの、如何にも意外だという問いに、五月さんはバツの悪そうな顔をしながら答えた。


「ごめん、正直あんまり記憶に無いのよ。特に今日は、気が付いたらあなたの上に乗ってたって感じかしら」


 俺の方を向きながら、何か凄い発言来ましたけど!何か普通に言ってるけど、それどうなの!

頭を空っぽにしてお読みください(笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ