第10話 帰ってきた
お久しぶりです。
去年はなかなか更新できませんでしたが、今年はぼちぼち出来るかな?
出来れば良いな~。
色々とあったが、やっと日本に帰ってきた。
まあ、帰ってきたと言っても、麗しき嫁様が待っている我が家に帰るわけではなく、モルモットとしてラボに直行なわけだが。
なんせ、生物的には死んでるからね。そういや、法律的にはどうなんだろうか。脈止ってるし、脳波も出てないからなあ。黙ってりゃ分からんだろうけど。
米軍基地からラボに帰ってきた俺たちを、まずは所長が出迎えた。
「お帰り三上君。向こうで撃たれたんだって?災難だったねぇ、はっはっは」
「だから所長、私じゃないですよ~」
見事に主語を抜きつつ、どこを撃たれたんだい?的に触診ならぬセクハラを始めようとする所長を軽く流すと、弥生さんはにっこり笑って必殺の一言を放つ。
「報告は書面にしちゃいますよ、所長~」
「そ、それは困るな。うむ、ご苦労様」
所長はわざとらしく咳払いまでして、報告の場所を弥生さんに伝えた。彼女から了承の返事を貰うと、彼は足取り軽く所長室に戻っていった。どっちが上司か分からんな、これ。
弥生さんは、そのまま職員用のエリアに向かった。報告書類やらを作るらしい。まあ仕事だからね、彼女は。
俺はというと、まあ、お約束通り精密検査という名目で、色々と体を弄られた。米軍からのデータやら検査ならぬ実験の模様の報告が既に来てるのか、出国前よりやられることが若干激しいような気がするんだが。
そうそう、首筋というか、肩の違和感は結局取れなかったので、ラボの連中に伝えると、レントゲンに何やら映っていたらしく、ちょっとした騒ぎになった。やっぱり何か埋め込んでやがったか、ヤンキーどもめ。
◇◇◇
「弾丸は体内には残ってなかったからね」
帰国の翌日、ラボの研究員の1人が、俺と向き合っている。弥生さんは別室で『検査中』らしい。またあのノーブラバインバインをやってるんだろうか。
「そうですか。で、肩のやつは一体何だったんですか?」
「さあ、何か小さな機械というか、金属片のようなものだったらしいけど、僕もあまり知らないんだ」
米軍に照会しているとか言ってたな、と研究員は続けた。あまり興味が無さそうだ。
「それよりも聞きたいんだけど」
彼は先程までの態度と打って変わって、身を乗り出すと、研究員は声を潜めて聞いてきた。
「ん?何ですか?」
「や、弥生さんのポールダンスって、どうだった?」
おい、誰だそんなこと教えたやつは。
「ユー〇ーブで凄いのが上がってて、誰これ、ってなってたんだけどね。解像度が低いから、はっきりと見えないんだけど。ひょっとして、って冗談で弥生さんに見せたら、自分だって言うから」
ちっ、あの客の中に動画撮ってるやつがいたのか。
その後、俺も動画を見せてもらったが、解像度が低いのと、倍率が低い、後そもそも店内が暗いせいで、モロパンは分からなかった。
「あ、あの格好だと、パンツ丸見えだったと思うんだけど」
あー、やっぱり関心はそこですか。若いよねー、みんな。
◇◇◇
さて、帰国から3日が過ぎ、帰国後の検査や何やらもひとしきり終わり、俺の日常はまた平常運転に戻りつつあった。モルモットとしての平常運転なので、何か面白いことでも有るかというと、そんなこともないわけだが。
また妙な質問ばかりされてうんざりしていた俺のところへ、所長報告を終えた弥生さんがやってきた。顔が若干赤いな、これはアレか。
「ご主人様~、もう限界です~」
やっぱり。この僕は、また盛ってんの?
「だって、向こうのモーテルでしたっきりじゃないですか~。何日経ってると思ってるんですか~」
確か7日過ぎるとヤバかったんだか。検査とか色々あって、すぐ過ぎた感じがするな。
「はっ、もしかしてそういうじらしプレイとか?」
いや、それはないから。
「それでですね~、ご主人様は私と一緒に住むことにしました~」
……は?何が『それで』なのか、頭の悪いおっさんにも分かるように教えてくれ才女さんよ。