第1話 死後の世界へようこそ
高熱にうなされているときに思いついたネタです。
きっとロクな展開にならないです、ハイ(笑)
細かい設定なんて、笑い飛ばせる方限定ですよー。
目が覚めると、真っ暗闇だった。
夜、電気を消して暗くなっているとか、そういう感じの暗さではなく、閉じ込められているような圧迫感を感じた。
(どこだ?ここは)
起き上がろうとして、びっくりした。何か、カサカサと手に当たるのだ。
(い!虫か!?)
勢い良く飛び起きようとして、俺は頭を何かにぶつけた。
(いってー!って、あんまり痛くないな)
結構な勢いでぶつけたと思ったが、不思議と痛みはほとんど無かった。ぶつけたおでこをさすっていると、周囲が急にざわめきだした。何やら人の話し声も聞こえる。どうやら誰か近くにいるらしい。俺は声を上げようとして、喉に何か詰まっていることに気が付いた。
(何だ、何か喉に詰まっているぞ)
口に指を突っ込むと、喉の奥から綿のようなものが出てきた。しかも、鼻にも詰まっていた。
(俺、これで良く生きてたな)
こころなしかケツの穴にも何か挟まっているような違和感があるが、ここは少し我慢しよう。
さっき頭をぶつけたはずみでか、上を覆っているものが動いたようで、隙間から光が入ってきていた。俺は、そっと覆いを押して、外をうかがった。
すると、そこにはばっちり化粧を決めた嫁様がいた。何やってるの、とばかりに鋭い眼光を放つ彼女と目が合ったので、俺は条件反射的に謝った。
「あ、すまん」
覆いは、また閉じられた。
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どうやら、俺の葬式の真っ最中であったらしい。そういえば末期ガンだったな、俺。ガンだと分かったときには手遅れ、しかも余命1月とかだったので、俺は死ぬ恐怖よりも、整理する時間が無いことに怯えた。
とにかく自分のモノを処分し、契約を切り、保険の手続きを済ませ、情報を洗い出した。美しい嫁様(ここ重要)と子どもにも恵まれ、55歳までを生きてきた。何となく人生60年とは思っていたので、自分が死ぬことに対してはさして驚きは無かった。不思議だったが、自分の人生に満足していたのだ。もうすぐ成人する子どもの結婚相手や、まだ見ぬ孫の成長も見たくないと言えば嘘になるが、またあの嫁姑再びを思うと、もういいや、という感じであった。男親など、こんなものなのかもしれない。
しかし、死後の資金も抜かりなく算段までちゃんとして、ああこれで安心して死ねるね、さようなら俺のハッピーライフ、幸せなうちに死ねるなんて最高じゃないか。とか思ってたのに、思ってたのに。
何だろう、このぬか喜び感は。
いや、死ぬことが好きとか、そういうわけではないんだがね。