いつか未来の僕へ〜たった386文字のメッセージ〜
どうか諦めないでほしい
どれだけ言葉を費やしても伝わらない。
僕の心の声は届かない。
アイデアはあるのだ。誰かに伝えたい思いも。だけどふさわしい言葉が見つからない。
辞書を眺めても人を惹きつける言葉を教えてくれやしない。
僕が何百文字と言葉をひねり出し、それでもなお伝わらない思いを、たった17文字で生き生きと描き切る人がいる。
僕が一万文字も費やして描いた世界より、百文字と音の波だけで表現された世界は何十倍、いや、何百倍も広くて複雑だ。
一枚の紙に描かれた絵。もし、全く同じ大きさの紙を目の前に用意されても、僕は同じだけの感動を与える文章を書けないだろう。
敵わない。
それでも僕は書き続ける。
僕は小説家だ。
誰も認めてはくれなくたって、筆を折らない限り。
今は大して面白くもないこの文章も、いつか未来の僕がリメイクすれば心に響く作品になるだろうか?
やってみせてくれ、僕。
僕はそのときのために技術を磨き続けよう。
未来の自分はもっとすごい人になっているはず