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TS転生は強制的に  作者: lime
二章
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三十九話~私と無礼者と殺人未遂者~

「……おい、ライムはどこへ行ったんだ?」

「ん?」


 マイクが復活してから十分近く、マイクは勇者からきいた私の事で質問をしてきた。

 まあ、私自身、勇者にした説明は適当過ぎて本当に意味不明だったとは思っていたから、だれかは質問するだろうとは思っていたけど、やっぱりマイクが質問してきた。


「魂が崩壊し掛けているから自己修復中だよ、だから私の深層部分に居るよ」

「それなら俺を生き返らせた時と同じようにすればいいんじゃないのか?」


 マイクは完全に復活したようで、はきはきと確りしゃべり、私に質問してきた。

 マイクの質問は、私視点ではない限り普通な質問だったので、マイクが特殊と言う事ではない様だ、ただ単に魂が漂着したのだろう。


「ごめんね~、あれの魂は私が干渉できない様に改変されてるから、出来ないんだよ」

「そうなのか」


 流石に、私と言う魂を表に出さずに、私の魔力と体を使うと言う目的に、ライムと言う魂を私の体に入れたって言うのに、私が干渉で着ていたら意味が無いだろう。そもそも私だって何度も試してみたけれど、全く出来なかったし。


「まあ、君は宗教的には疎いからそんなに反応をしないんだろうけど、蘇生したとかふざけても言わないでね?」

「えっ? なんで?」


 何故だか、科学文明が発展しているところからの転生者や、魂の漂着者の大半に共通して起こることは、宗教を信じないと言う事だ。

 どうやらマイクにも共通していて、蘇生したと言う事に何も感じることがないと言う事は宗教に疎いと言う事になる。……アルテナは死者蘇生が禁忌だと言っているみたいだしね。まあ、下手すると魂が崩壊するだけだから人間に向けてはそういった方が良いのだろう。


「禁忌に触れるようだから、まあ、人前で言わなければいいだけだよ、それに蘇生なんて事は普通は現実的に不可能と言う事が常識だから、問題ではないかもしれないけど」

「分かった、じゃあ、ライムはいつになったら復活するんだ?」


 そして、今度マイクは、ライムの復活するまでの質問をしてきていた。まあ、幼馴染だから普通なのかもしれないけれど、少しだけ意外だった。

 ライムの記憶にも、朴念仁キャラを気取っているとは言った物の、完全に朴念仁な奴ではなく情に厚い、とても扱いやすい、もとい、騙されやすい性格をしている。そっちの方が私には便利なんだけどね。


「明日の朝には魂は治っているだろうね」

「じゃあ、明日になればライムが帰って来るって言う事か?」


 しかし、やはりと言って良いのか、この情に厚い男は無駄に勘が良いし、ライムみたいに学術的な秀才でも馬鹿と言う様な奴でもない、と言うかこういう事に関しては天才なんではないかと思う位の奴だ。一番効かれたくないことを聞かれた。

 まあ、この体は元々私のものなのだし、だからこの体の権利は絶対に私にあるだろう。だから別にライムを表に出さなくともいいのではないか、とは思う。……それで、うん、いいよ! とか言う奴は余程の馬鹿か間抜けだろう。


「おい、何故目を逸らしているんだ、まさか疚しい事でもあるのか?」

「……や、疚しいも何もこの体は、元々私のなんだよ! だから別にださなきゅ、出さなくてもいいでしょ!」


 本当に、マイクは扱いづらかった。

 流石の私も睨まれたら焦るし、そもそも精神的には年若い少女でしかない。だから怖くなって焦ってしまっても仕方はない筈だ。……噛んだのも仕方がない筈だ。

 それに、それで私が悪と言う風に言われたら、それはおかしい筈だ、私は権利と言う物を主張するよ! ……まあ、私には人権はあるのか分からないし、そもそもライムにも人権はあるからダメだろうけど。


「てめぇ、何言ってんだ? 殺されたいのか?」

「お、おかしいよ! 意味が分からない! 理不尽だ! 私は君を救った命の恩人だぞ!」


 勿論、焦りながら言ってもマイクには何も聞いていない様で、しかも脅しまでしてこられた。

 

「もう一度チャンスをやってろう、ライムを返すか?」

「ぴぃう」


 しかし、マイクは本気で私の事を殺そうとしている様で、私の事を本気で睨み殺気を放ちながら私の首元に手を添えてきた。

 これは本気で殺されてしまうだろう。たとえライムも戻れなくなると言う事を発したとしても殺す気なのだろう。勿論、私は冥府へ行けるので帰ってくることは造作もないんだけどね。

 ただ、殺される痛みを味わうのは嫌だよ。


「あ˝ぁ˝?」

「戻す戻す戻す戻すからやめてぇ!!」


 そして、私の抑えきれなかった悲鳴を聞き、本当にゆっくりとだけれど力を強めて来ていた。勿論、そんな事をされたら苦しくなるに決まっていた。

 私自身、冗談で言っているのかと思い本気で苦しくなるまで待ってみたのだが、やはり力は弱まる事は無く、私は普通に諦めた。


「最初からそう言っていればいい物の」

「……絶対にいつか殺してやる」


 勿論、マイク程度簡単に殺せるのだが、問題はこの世界の救世主となる筈のライムに問題がある。

 ライムの魂は完全に壊れることがなく、自己修復をするという事をアルテナが仕込んである。ただ、それは魂と言う精神の器だけで、中にある精神や記憶と言った物が濁った場合は戻らない。

 だから精神への傷は限りなく少なくしたい、ここで知り合いのマイクを殺してしまうと……下手したら一発で傷付く。


「はっ、何を馬鹿な事を」

「……私は神だ。ライムが活躍し終わったとともに貴様を殺してやる」


 もう、私のマイクの印象は最低になった。

 私は神であり、死を司り、生を司る冥府の神だ、それなのにマイクは完全に調子に乗り、そして嘲笑までしてきた。流石にここまで屈辱されたことは初めてだ。

 アルテナでさえそこまではしなかった、と言うか私が嘲笑していた側だから。

 ライムが世界を救った瞬間にマイクを無間地獄へと連れて行こう、絶対にだ。


「おい、マイク、こいつは冥府神だぞ、あまり変な事をするんじゃねぇ!」

「何言ってんだよ、こんな間抜けな貧乳程度に」


 ……マイクを無間地獄で死んだ後に、生き返らせてまた無間地獄に、と言うループにさせると言う事を私は心に誓った。

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