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TS転生は強制的に  作者: lime
一章〜村での出来事〜
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九話~ボクとギルドと筋肉地獄~

 インフルなどではありませんでした。

 インフルだったらよかったのにね。

「へえ、ここが冒険者ギルドなのか、なんか意外だね」


 エルンストの冒険者ギルドの建物は、ただ単に大きな役所の様なものだった。形的にも公共の建物とあまり変わりはなく、看板に剣が二つ重なった絵が描かれている建物だった。

 ボクはてっきり荒廃した建物の中でむっさい男共が殺した魔物を持ってきているようなイメージだったんだけど……お役所仕事なのかな?


「しっつれいしまー……お邪魔しましたー!!!」


 ……しかし、ボクのイメージははあっていたようで、ギルドの建物の中には筋肉の塊が徘徊していた。

 勿論、そんなガチのムチが大量にいる腐女子歓喜的な腐天国(筋肉地獄)がボクの視界一面に広がってしまい。普通に吐き気を催してしまった。

 あ、あれはやばいよ。普通に死にたくなるレベルだったよ。


「ライム何してんだ? 早く入るぞ?」

「だ、だめだよ! そこに入っちゃいけないよ! 良いね!」


 ボクの反応を意味不明そうに、そしてなれたような目で見ていた、まだ被害を被っていない二人が、ギルド(地獄)に入ろうとしていたので、止めようと思ったのだが、訝しげな目線で見られた。

 何で、ボクは毎回こういう風な反応をされるのさ、そんなにボクは意味不明でおかしな行動をしていたのかい?


「おじゃまs「バタン」」


 しかし、ボクの引き留める声を無視し、マイク君は扉を開けた。

 結局、ドアを開けたマイク君だったが、流石にあの光景には耐えられなかったようで、ボクよりも早く扉を閉めてしまった。

 別に冒険者全員がこういう様な筋肉ダルマしかいないと言う訳ではないと思う。

 さっき道を歩いて時に、剣を担いだ細身のイケメンなどが歩いていたから、ああ言う人たちも普通にいる筈だ。だから偏見は良くない。別に冒険者はそう言う(筋肉ダルマ)物じゃないはずだ。


「な、なんだここは、地獄か? 地獄なのか? 俺たちが一体何をしたって言うんだ」


 顔面蒼白なマイク君が口に手を抑えながらそんな事をつぶやいていたのだが、それはただ単にボクの忠告を聞かなかったマイク君が悪いと思う。

 そして、ナタリーもマイク君の様子を見て、冒険者ギルドの扉を開けることをためらっている様だった。実際、今すぐにでもあの地獄を見てもらいたいのだけれど、もしかしたらナタリーに、そっち属性(腐女子)だったらかなり危ないんだけど。……大丈夫だよね?


「おい、てめぇら、何してんだぁ! 喧嘩売ってんのなら買うぞ?」

「「うぇ」」


 そして、ナタリーがためらっていると、ギルド内部から筋肉が現れてしまった。流石に今筋肉を見てしまうと普通に冥府に行ってしまいそうになるからやめてもらいたい。危うくオルトロスの兄弟にあってしまう所だった。


「おい、そこの野郎とちんちくりん。ちょっとこっち来いよ。ぶちのめしてやるから」

「良いよ、良い度胸じゃん。君はボクがぶち殺すから」


 ちんちくりんと言われ、ボクは少しだけ切れてしまった。

 勿論、本気でキレて正気まで失っているほどではないので深淵魔法などは使っていないが、ボクの膨大な量の魔力を放出し、少しだけ威圧をしたのだが、何故か筋肉は強敵と戦う様な表情をしながらボクの事を睨んでいた。


「お、お前は一体何なんだ。その魔力量は人間の域を……」

「ボクのスタイルが人間の常識をはるかに上回っているとでもいうのかい! それならいいもん、ボクもう本気出すから」


 魔力の解放だけで相手を封じ込もうとしたのだが、流石にここまで馬鹿にされたらこっちも黙っているわけにはいかないんだ。こちとら元江戸っ子だぞ? ぶちのめすぞ? この野郎。……元相模っ子だけど。


「お、おい、まて!おちつけ!」

「『魔拳』」


 魔拳、それはただ単純な魔力を拳に纏わせると言った、原始的なスキル。

 しかし、それはボクの様に意味不明な魔力量を持つ生物が使う場合は原始的だからこその攻撃力を得られてしまう。だから今のボクの拳を食らったら普通に、空のかなたにふっ飛んでしまうだろう。まあ、これは天罰だから、仕方がないね。広範囲に力を持つようなスキルを使わないだけでありがたく思ってもらわないと。


「びゅ」


 そんな弱弱しい声を残して、自動車の最高速度位の速さで吹っ飛んでいった。まあ、女の子に手を出す。ましては年下の女の子に手を出すような下種筋肉と言う滅するべき存在は死んだ方が良いだろう。そもそも、ボクの体系をちんちくりんと言うならばあのアルテナはどうなるんだって話だよ。

 あれはボク以上のちんちくりんなんだけど。


「よしっ! 悪は滅びた! 早く中に入ろうよ? まともな人物の一人くらいはいるだろうし」

「いや、お前を見ていると筋肉なんてどうでもよくなって見える。と言うかお前ほど真面じゃない人間は存在しねぇんじゃないか?」


 なっ、失礼な奴だな。別にボクはそんなやばい奴じゃないでしょ。ただたんに、悪を滅殺しただけじゃないか。それは別に悪じゃないでしょ? それにこの国には憲法とかはないんじゃないの? まあ、前世だったら完全に犯罪者だと思うけど。


「失礼しまーす。冒険者の手続きをしてもらっても良いですかぁ? あ、ちなみにさっきボクに喧嘩売ってきた人は殺っちゃったんですけど、大丈夫ですよね? 一般人に暴行をふるう様な下種になら」


 第一印象を良くするために笑顔でその事を言ったのだが、逆効果だったようで、「あ、悪魔だぁ、悪魔がいるぞぉ」とかつぶやいている人が居たり、「個々のギルドの最強であるグスタフさんに勝つだと!?」と言う風に言っていた。

 ……完全に第一印象は失敗しちゃったみたいだね。てへぺろって奴だね。


「それで……冒険者手続きをしてもらいたいんですけど」

「ひっ!? こ、こちらですっ!」

「……」


 ……いくら、第一印象が悪いからって何故ボクはここまで怯えられているんだ? まあ、別に筋肉に文句を言われないのなら問題はないんだけど、流石にこれも精神的につらい。それに美少女や美男子が怯えるならともかく、筋肉に怯えられてもね。誰得だって話なんだよ。


「こ、ここの紙に必要事項をか、書いてくれませんかっ?」

「いや、まあ書くけど」


 何で職員側が「書いてくれませんか?」って言うのさ。意味が分からないよ。と言うか何故筋肉一人をお星さまにしただけで怯えられるんだ。意味が分からないよ。集団虐めだよ。

 と言うかさっきから黙ってる後ろにいる二人からの目線が居たいから、その反応は本当にやめてもらえないかなぁ!?


「マイクさんと、ナタリーさんと、ライム様でよろしいでしょうか」

「いや、まあ、よろしいけど」


 何でマイク君とナタリーはさん付けだったのに、なんでボクだけ様付けなの、意味が分からないよ。と言うかマイク君からは怒気を超えて殺気になりかけてるんだけど。

 マイク君とナタリーは、ボクよりは圧倒的に単純な力は弱いけど、精神攻撃が滅茶苦茶やばいんだよ。マイク君で言えば言葉攻めと色仕掛けで、ナタリーだったら単純なガチ説教とかで、ボクのSAN値をゴリゴリと削っていくんだよ。


「で、では、説明をさせていただきたいのですが、よろしいですか?」

「……うん、それでよろしいよ」


 もう駄目だよ。

 後ろからの目線が、何をしようとも改善できなくなっている位にきつくなっているので、もうあきらめることにした。私には分からない。的な感じ。


「ま、まず、ギルド会員は一般人への暴行は固く禁じられています。なのでライム様が先ほど行った行為は問題にはなりません。

 そ、その次に、ギルド会員は犯罪を犯した場合は強制的に脱退させられます。禁止事項は以上です」


 み、短いんだね。と言うかその間にも睨まれ続けている方が圧倒的に怖いんだけど。本当に誰か助けてもらえないかな? ボクの幼馴染が、対象年齢の高いホラーゲームよりも圧倒的に怖いんだけど。やっぱり一番怖い物って幽霊でも化け物でもなく、人間なんだね。


「次にランクについて説明させてもらいます。

 ランクはEランクから最高でSSランクまであり、ランクごとにはランクアップ試験があります。ランクは上げると受注できる依頼の数が増え、そうすると必然的に収入は高くなっていきます。説明はこれ以上です。あそこのコルクボードに依頼が張られているので、自由に見て行って下さい。あなたたちはEランクです」


 ……お、怯えてたんじゃないの? 急にはきはきと話し始めたけど。やっぱりボクの事を虐めてたよね? 最低な大人たちなんだよね? もう一度筋肉一号と同じ様に吹き飛ばしてやろうか?


「じゃあ、依頼はあとにしておこうぜ、先ずは俺の説教よりも先にお前の説教だ」

「抵抗をするのならいいけど、それをしたなら説教の時間をさらに長くするわよ?」


 そんな事を言われたら流石に従う以外の行動をすること以外は考えつかず、無言で今日宿泊する宿屋に連行されていった。

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