私は
先ず、一歩。
書くことで許されるなら、私は書くことする。
ふつふつと、頭に浮かんでは、目先の楽に走り、流れる絵を見ていた。
そこに面白味はあれど、発展性もなく、ただ消費されるだけで、私の一部にはならなかった。
脳が焼けるような熱を持ってきた。転がろうか、立ち上がろうか、のたうちまわろうか。
どれも私の意志には反して、動かない。私は、ひたすら動かない。
ひと月、ふた月、流れる月日、蠢動する外界、在り続けた像は忽然と消えていた。
私の行く手には、山と峠と谷があり、川と海と沼が広がっていた。先ずは、どこへ行こうか。
考える前に動き出すなんてこともなければ、思うままに体が動くはずもなく、手足は縛られているのか、手足がないのか。
判断がつかぬまま、またひと月、ふた月。私の物語は、進むはずだったがどうやらここまでのようだ。
携帯が鳴る。あの日が蘇る。見てはいけない、見てはまた長い螺旋を巡る。だめだ、見るな、見るな、見る。
「こんにちは 聞こえていますか 私はあなたの隣で ずっと前から しゃべり続けています」
何事か、そこには見慣れた文字がある。初見ではない、これは、ひと月、ふた月前からあった言葉だ。
私は、誰に返すのか、目標は何なのか、何が欲しいのか、求めるものはなかった。ただ、返事を返したかった。初めて人間らしい感情を抱いたと言ってもいいんじゃないか。
「こんにちは 聞こえています 私はあなたの隣で ずっと前から 聞き続けています が 聞こえません」
このまま私の人生の独白と行きたいところだが、出会ってしまう。理想の人間、理想の異性、理想の世界、理想の理想。
それではまた、愛に生きてください。
二歩目は、いずこか。