戻ってきているんだ
戻ってきているんだ。
ここに。
あなたの向かう先は。
いつも。
別れた道を一人で歩いているつもり。
もつれていることを、わたしたちは知らない。
「どうしたの?」
「なんでもない」
嫌いなものを見なくて済むということは。
好きなものだって、もう二度と見れないってことなのかな?
ふざけ合ったこともあったよ。
けれど大人たちはみんな言うじゃないか。
忘れる。
忘れたいと思ったことなんて一度もないのに。
涙の理由。
遠い、遠い、遠い。
掴んだと思った。
それこそ主観の威力なのさ。
もう、あと何度、残されているのだろう。
この大きくなり続ける世界で。
何もかも変わり続ける世界で。
もう、あと何度、残されているのだろう。
小さな、小さな、小さな。
わたしが勝手に背を向けているだけの。
それは。
あったんだけれど、なくて、あるのに、なくなって、あったはずで、ないもの。
今だけは、あってもいいよね?
そんな夢を見ている。
白い光に包まれて、稲穂の匂いが、空へと落下していく途中に、君の長い髪を梳くような。
傍にいて、頬に触れて、それだけで。
すべて。
ほしくて、まだ、ほしくて。
零れ落ちていく砂は。
わたしが、あなたではなくて、ぼくでもないんだっていう。
ならば。
きみはだれ?
「また会ったね」
「そうみたい」
ぼくは、時々思うんだ。
わたしたちは、どこから出てきて、どこへ帰っていくのか。
旅支度はもう済ませたよ。
一番大事なことは、なんでかな、言えないままだけど。
いいさ。
さよならは、つきものだから。




