そうだ、ばりばりと
そうだ、ばりばりと、血の味がする、神話の果て。
これが見たものか、掴まえたものか、逃げゆくものか、どうして眠れないのか。
リズムは少しずつゆっくりになっていく。
ゆっくり。ゆっくり。メトロノーム。
あちらに行ってから、こちらに帰ってくるまで。
ゆっくり。ゆっくり。ハレー彗星。
それが人生なんだ。
これがここにあるもの。これがここにないもの。
そして、あれが、かつてここにあって今はここにないもの。
振り落とされる。速過ぎたんだ。踊るように。
痙攣を起こす。指、爪。
またどこかに消えてしまった。
船。二人は乗れない。二人は沈む。二人ではどこにも行けない。
でも一人ならどこへだって。
だとすれば。
私は二人でいい。どこにも行けなくたって二人でいい。
何度でも同じ科白を言おう。
「これが風。この吹きつけるのが!」
「これが空。この吹き抜けるのが!」
「これが青。この吹き鳴らす音が!」
「これが赤。この胸で時を刻むのが!」
「これが白。この眠る直前の浮游が!」
「これが黒。この閉ざされた部屋が!」
そうだ、ぐるぐると、何度でも、私は彼女を選び取る。
夜空の星より無数のパターン。膨れ上がる可能性。ゆえに滅びに向かう世界。
この広大な砂場で、私は城を築く。
逆しまの砂時計で、私は城を築く。
白黒の背景の中で、私は城を築く。




