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「わたしのことは気にしないで」
「わたしのことは気にしないで」
何もかも一緒になんて無理な話。惑星だって足並みは揃わない。
せがんで。もっと必死に。
目なんか合わせてくれなくていい。顔色なんか伺わなくていい。
「強く強く強くただ強く抱いて」
オーロラに包まれて夢を見る。
あなたはじっと夜明けを待つ蜥蜴。わたしはナイフでその首を切る。
「首から下は読みかけの小説に挟むの。首のほうはピアスにするの」
違う。わたしが感じたいのはそんなベルトコンベアみたいな行為じゃない。
「あんまり意気地がないと頭からむしゃむしゃ食べちゃうわよ?」
流れ作業のリピートは飽きたわ。
「それとも首を絞められながら眼球を舐められるほうがお好み?」
詩も音楽も三鞭酒もなんだって生で味わいたい。
「どっちでもいい。アがれるのなら」
あなたの魂をわたしのものにしたいだけ。
「あなたの過去なんて興味ないわ」
別れの最後に棺の中に投げ込む白い花みたい。どのみちただの灰になる。
「ねえ、耳なんて一つあれば十分よね?」
この爪ですべてを剥ぎ取りたい。
ワイシャツ。皮膚。嘘。強がり。あらゆるあなたを覆うもの。
「わたしの望みはただ一つ」
あなたを限界まで泣かせたい。
「そして優しいキスをするの」




