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悲しみに
悲しみに、雷に打たれたように、突然に、君は消えるんだ。
何もないがある都会の真ん中で、空缶を踏み潰す。
わりと楽しい? 『わりと』ってどれくらい? それはあなたの臆病な心臓より大きいの?
財布の中でくしゃくしゃになったスーパーマーケットのレシートを、狼に怯える一人ぽっちの山羊みたいに頬張るのさ。
なんたって君はヒーロー。僕は空までくっついて離れない。
他人を騙すのが得意なヤツらは言う——『大人しくしてな。命だけは助けてやる』。
胸を突いてやろうぜ。そんな月が昇らない夜。
愛してる。その言葉だけじゃ僕の風邪は治らない。拗らせたんだ。咳を止めてよ。君のキスで。
なんたって君はヒーロー。僕の手を引いて空も飛べる。
関係ないよ。株価が上がったとか下がったとか。今は一杯のコーヒーと君の手の温もりがあればいい。
始まりの予感に満ちた朝靄を煙草の代わりに吸い込んで、僕は魔法の光を見るんだ。
そして悲しみに、雷に打たれたように、突然に、君は消えたんだ。
泣いたって君はヒーロー。ここじゃないどこか高いところへ僕を運んでいく。
ここじゃないどこかへ。ここじゃないどこかへ。ここじゃないどこかへ。




