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絶え間なく

 絶え間なく零れ落ちる涙。


 私はタカタの背に乗って飛ぶ。


 眼下を流れる白い雲海うみ。冷たい空気を吸い込む。下のほうとは味が違う。


 タカタは無口だ。喋ることに価値を置く種族じゃない。なぜなら孤独だからだ。夜空の星と同じ、内部で完結している、閉じた世界。


 私は違う。境界が曖昧で、一人では生きていけない。誰かの吐き出した酸素を吸い込まなければ、私は一秒だって、正気じゃいられない。


 雲が晴れて、青い水海うみが広がる。この惑星ほしはどこまでも海。純粋な水だけの星。水蒸気の膜。極を中心とした氷。それ以外は、全て水。原始生物のように形を不規則に変えながら、宇宙を漂う巨大な水滴。


 時々、雷が落ちる。


 時々、水素と酸素が出会って、恋に落ちる。


 それから、時々、星の真ん中から泡が生まれる。


 泡は大きさによって、タカタになったり、私になったり、もっと別の何かになったりする。


 泡から生まれた彼ら(タカタ)や私たちや別の何かたちは、みな、海を離れて空を飛び続ける。


 そして、いつか、力尽きて、海に落ちる。


 不純物のない水に抱かれて、ゆっくりと、星の真ん中へ落ちる。


 プラズマの光で真っ白な、心愛(core)


 そこで私は、私や、私たちや、別の何かや、あるいはタカタと溶け合う。


 そうして、再び、泡が生まれる。


 生まれたわたしたちは、目覚めてすぐに、悲しみを知る。


 私たちが私たちである限り、どうしようもない、水素結合。


 その運命が、とても悲しくて、反動で、私たちは空を飛ぶ。


 悲しみだけが、重力に逆らえる。


 私たちは、泣きながら空を飛ぶ。


 そして、涙が涸れたときに、私たちは浮力を失うのだ。

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