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偏屈王の哲学
1、ぜひ大っぴらに使ってくれ十二億円
「ま、ま、ま」
と私は早口になった。「待て、いいか、百万円の帯封の札束が、段ボール箱一ト箱に二百個で二億円、六箱で十二億円。新札だけでなく使い勝手がいいように、番号が結構バラバラの札束もある。だが、そうでなく、ぜひ大っぴらに使ってくれ、だって。なぜ?車のトランクにもう一杯だから、それで。ご希望ならその内何十億円、何百億円も、無尽蔵。希望する?どうする?」
「酔ってる?」
「まだ、これから」
「それじゃあ、こうしよう。暫く決して電話しないで頂戴。携帯にも。メールにも」
「ま、ま、ま」
「・・・」
つづく