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1-3

 砂と石。「違いは大きさ」という事が言えると誰かが言った。

 砂の原材料を鑑みれば同じマグマで生成されているのだから元本的な違いはないということだ。

 ただ、砂と石ではマグマから大本が生成されてからの変化の違いだけということだ。

 土と砂も然り。

 砂に有機物が含まれたのが土であるためそこまでは違いはない。


 さて、これらの考察の結果をまとめると以下のようになる。

 石≒砂≒土。よって石≒土。


 さてさて、話は変わるが石と呼ばれるものを投げると石に早さが加わり破壊力が生まれるという事を知っているだろう。

 砂も投げれば石よりも威力は無いが破壊力が生まれる。

 泥団子というものも投げると上記の通りこれまた威力が生まれる。


 またも、話は変わるが泥団子というのは砂を水と混ぜ合わせて手で圧力を加えることによって精製される。

 強度は水と砂と圧力との配合で変わるがそれ相応の強度を得れる。


 何が語りたいのかと言うと、砂は密集し圧力で固まることで石まではいかないとは思うがやはりそれなりの強度を得れるということだ。



**********



 土の塊がかなりの速さを持って近ずく。

 砂は馬鹿に出来ない。使い方を考えれば、それなりの武器になるから。

 全てがスロウに見えてくるという所謂いわゆる、死ぬ前のアレを今体験していた俺は「ボーッ」とした頭でそんな事を考えていた。

 腕の中で叫ぶ八雲さん。しかし八雲さんの声はこんな至近距離なのに聞こえなかった。聞こえたのは「ドクンッ、ドクンッ」心臓が刻む激しいビートだけであった。

 口裂け女は叫ぶ。


 「あひゃひゃひゃひゃ。そのまま二人ともいっちまええええええ!!げひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」


 もう土の塊と俺たちの距離は50mもなかった。

 もう、ダメなのかもしれない。

 両目を瞑り無宗教者な俺は神様に祈る。来世はもっと平和で無事な安心な生活を送れますようにと。


 ヒュン。

 不意に頬を掠めて顔の横を何かが通り過ぎて行った。

 

 「・・・っ!!時雨さん!!」


 腕の中の八雲さんは俺の背後を見てそう言った。

 俺も恐る恐る振り向くと我らが生徒会長の人がいた。

 っ!!土は?そう思い前方を向くと土の塊は分厚い氷の壁に遮られていた。

 何があったんだ?


 「ふ~ん、今まで全く話したことのない二人がたった一日で抱き合うまでの中に進展するなんて・・・ラブラブね」


 会長さんの開口一番は冷やかしであった。

 すると八雲さんは


 「ふぇ!??・・・きゃあああああ!!!」


 と、あらん限りの声で叫んだ。

 当然俺は茫然としていて会長の言葉を理解している途中だったので耳を塞ぐという行動を起こせず、八雲さんの叫び声をモロに受けた。


 「っっっっっっっ!!?」


 叫び声が止み、俺は地面にバタンと倒れこんだ。

 大声のせいで頭が痛くなってきた。勿論頭痛のことだ。


 「な、無月!?」


 八雲さんが覗き込んできた。

 さっきの会長の言葉で俺は八雲さんを意識してしまい顔を赤面してしまった。


 「だ、大丈夫か?顔が赤いようだが・・・?」


 「ふふふ、初心うぶね。雑務さん」


 クソ!この会長め!! と思ったのも束の間。氷の壁がベキベキと音を立てて崩れ始めた。


 「むぅ、お姉さんの能力でも食い止められないなんて・・・癪に触るわね!!」


 この会長さんは負けず嫌いらしい。俺は何とか回復したのでおもむろに立ち上がった瞬間、回し蹴りを腹に受けた。


 「あなたはシフト4でしょ?お姉さんが守ってあげるからそこでジッとしていなさい!!」


 おいおい、俺に御前アンタの苛立ちをぶつけて八つ当たりすんなよ!!そう言おうとしても綺麗に鳩尾に入り、俺はただただ、もがくだけであった。


 「飛鳥ちゃん、お姉さんが攻撃を防いどくから飛鳥ちゃんは本体アイツに攻撃をお願い」


 そういうと会長は掌から氷や水を射出して土の塊に攻撃していった。

 そして俺はと言うとそれらの会話を聞いた後、頭痛が発生していて、腹に蹴りがモロ入ったせいで腹痛がおきてそれらの要因から気を失ったのだった。



**********



 ポタッポタッ。

 何かが俺の顔に降ってきた。まどろみを含みながらも俺はゆっくりと起き上った。

 すると会長が俺の傍に立っていて土の塊に攻撃をしていた。

 そして、俺の意識は一気に覚醒した。

 会長は思いきり汗を掻き、滝のようにとめどなく流れていた。

 俺はどのくらい気絶していた?そんな疑問を会長は解消してくれた。


 「やっほ~、ようやく起きたのねお寝坊さん。5分も休憩してくれたなんて・・・お姉さんの傍は安心するでしょ?」


 軽口を簡単に言ってのけれるのかこの人は。

 流石は元帥族マスターズの一つである水無月みなづき家次期党首なだけはあると思う。

 でももう会長はヘロヘロで押し負けるのは時間の問題だった。すると土の塊からさらに小さい球が射出されて会長の元気を削っていった。

 さっきは茫然とだけしかしてなかったが・・・行きますか!!!


 俺は会長の背後に立ちあがった。そして会長を素早く足払いをして宙に浮かせてお姫様抱っこをした。


 「!???・・・ちょっと何するのよ!!」


 と、抗議をするが今は説明している暇はない。


 「ちゃんと口を閉じとけ。舌を噛んでも知らんぞ」


 と、だけ言うと俺は全長5mはくだらないその塊を飛び越した。

 ふぅ、これで安心か・・・と思っていたら土の塊は俺に向かって方向転換をして来た。

 

 「あなたはシフト4の最弱者よ。そんなに格好つけてないでお姉さんを下ろしなさい!!」


 最弱だかシフト4だかごちゃごちゃウルセ―な。俺のためにそんなにボロボロのヘロヘロになられたら助けたくもなるだろうが!!

 だから、そう言った。塊を睨みつけながら。会長は下に俯きながらフルフルと体を震えさせてた。多分、自分よりも能力の低い、ましてや最弱能力者に言われたのだ。怒ってるのだろう。

 だが今はそんなのはどうでもよかった。能力を起動させるために会長をどうするかを悩んでいた。

 仕方ない。ここに置いとくか。


 「すみませんが、ちょっくらここに居てください。すぐにあれに片をつけますんで」


 そう言って俺は会長の前に立ち、土の塊と対峙した。会長が返事をしなかったのはまだ怒ってるからだろう。


 さてと・・・右腕に力を込める。

 グッと力を込める。

 すると「ボッ」っと炎のように黒と白との混合マーブルしたオーラが右腕から噴出した。

 それは右腕から止めどなく溢れ右腕全体を覆う。


 「さてと・・・」


 不意に呟く。ゆっくりと塊に近づく。

 そして、右腕で塊に触れた瞬間、ドンッ という大きな音を立てて塊が吹き飛んでいた。


 「やれやれ・・・」


 土で汚れた制服を手で軽く払い、会長に向かって言った。

 

 「八雲さんの手助けにでも行こうかね」



**********



 「げひゃひゃひゃひゃ、あひゃひゃひゃ。八雲 飛鳥。お前の負けだああ」


 口裂け女は足元から次々とゴルフボール大の土の塊を作り、大砲のようにそれを次々と射出していた。

 それを飛鳥は次々と華麗によける。そして口元で何かを呟く。


 「地球ほしを作りし 五大元素のひとつ 母なる大地を恵ませし偉大なる水よ その身を持って魔を駆逐せよ」


 すると飛鳥の周りに無数の水の玉が出来上がる。

 「駆逐せよ」と呟いたとたんにそれらは一気に高速射出し、相手の塊を減らす。

 そして、口裂け女を攻撃する。


 「ぎゃひひひひひ」


 不可思議な雄叫びをあげて、痛さをアピールする。

 しかし、すぐに殺気をぶつけて威嚇する。


 「殺すうううう!!」


 その台詞を何回吐いたか、と飛鳥は内面、辟易していた。

 しかし、油断はしていなかった。先ほど大和たちを襲ったアレは能力的にもかなりのクラスを誇っていたからだ。

 なので気を引き締めて攻撃をさらに続けたのだった。


 「おいおい、すげえな」


 トボトボと歩いてきたのは大和たちであった。大和は八雲の一方的な攻撃を見て、感服の声をあげていた。

 時雨はかなり疲弊しているのが見てわかった。大和に肩を借りて漸く歩けるというほどであったからだ。

 すると口裂け女が常人ではありえない速さで大和たちに近づいて行った。


 「げひゃひゃひゃひゃひゃ、死ねえええ!!」


 しまった、油断した。

 そう飛鳥は思ったがもう遅かった・・・かに見えた。

 しかし大和が会長の前に立ち、またも女を殴り飛ばした。


 「おい、いい加減にしろ!!てめえの負けだろーが」


 乱暴な口調で女に言うも女は言った。


 「げひゃひゃひゃ、負けてないですわよほほほ。・・・逃げも兵法の一手」


 すると、勝てないと見越したのだろう女は地面に潜り消えていった。

 そして声が聞こえた。


 「まぁ、今回は兵法の一手を使わさせてあげましたが、おぼえておきなさいな。よほほほ」


 「完全にお前は咬ませ犬じゃねえか!!」


 それは言わない約束じゃないのかな。時雨と飛鳥は心でそう思ったのだった。


 「ああ後、最高の置き土産も残しておきましたわよ。げひゃひゃひゃひゃ」


 すると最初に襲ってきた攻撃の倍はある全長の奴が襲ってきたのだった。

 飛鳥はヤバイと思い、能力を詠唱しようとしたがそれよりも早く大和が前に突っ込み又も混合マーブルのオーラを纏った右腕でそれを消失させたのであった。


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