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 春眠暁を覚えず_

 処処蹄鳥に聞く__

 

 春うららかなこの桜という春という季節の代名詞が舞うそんな季節。

 昔の歌人が歌ったうたの如く、穏やかなこの季節に似合わない穏やかとは相反する鬼気迫るといった形相の男がいた。

 その男は道路の外側の白線の外の道路、所謂いわゆる「自転車走行用の道路」を自転車で爆走していた。

 その男の服装は白を基調とした所々に紺色のラインが入ったブレザー、技能大学付属第三高校の制服を身に纏っていた。

 その男は健康的な肌、紅色の目、漆黒の黒髪、まっすぐに伸びた形のいい鼻、それ以外は平均的な顔だちをしていた。


 そしてその男の名は__「無月なしづき 大和やまと」といった。



**********



 「うおおおお!どけっ!どけぇぇぇっっ!!」


 「春眠暁を覚えず」とは誰が言った言葉だか、春という季節はなぜこうも眠くなるのだろうか?

 さっきの言葉道理、俺は寝坊をした。

 これも春という季節が魅せる魔法の一つかもしれない。


 まぁ、とりあえずはまず学校に着かなければ話しにならない。腕に巻かれた腕時計をのぞくと長針と短針がそれぞれを指していて組み合わせてよむと 現在時刻 「8:59」 を示していた。

 ついでに 現在地 「学校正門前の長い坂道」 はここである。


 色々とすっ飛ばしてきたから何とかここまで来た。

 勿論、道路交通法は順守はしたけども・・・

 

 後はこの坂道だけだ。

 さすがにこの時刻だと誰も人は見当たらない。

 

 「うおおおおおおおおおおおっ!!!!!」


 死力を尽くして必死に駆け上がる。

 ペダルを力強く、でも踏み外さないように繊細な力加減をして登りあがる。

 時計の針は刻々と無情にも時を刻む。

 

 くそっ!負けてたまるかっっ!!

 俺は勝つんだっっ。 うおおおおおおおっ!!


 坂の最後にかかり、ぐんっ!! と俺は力を掛けた。

 これが俺のラストスパートだああぁぁぁ!!!!!! 


 坂を登り切り キキッーー!! と盛大にブレーキを踏んで腕時計を覗き込んだ。

 長針と短針の組み合わせはまだ、「8:59」を指していた。


 「ギリギリセーフっっっ!!」

 

 「アウトだ。バカ者」


 野球の審判宜しくボディパフォーマンスでセーフのポーズをしていたら、背後から星を降らせる鉄拳が俺の頭に降ってきた。


 「何するんですか!!ゴr・・・うおっほん・・・五里いつさと先生」


 「おい貴様、ゴリと今言いかけただろう」


 「なんことやら」


 鉄拳を降らせたこの人は「五里いつさと 郷里きょうり」という去年まで俺達のクラスの担任、現風紀委員の顧問にあらせられるお方である。

 生徒からは「ゴリ」という畏怖を込められたアダ名もとい愛称でで呼ばれている。

 まぁ、最もこんなにも厳つい体つき、野太い声、厳つい顔つき じゃ怖がるなという方が無理なものであるが。


 「まぁいい。さっさと体育館に行け」


 「え?指導室じゃなく?」


 珍しいこともあるものである。


 「ふん、流石に入学式くらいださせるぞ」


 「んじゃ、指導も無いんですね?」


 このキラキラと輝く未来にガッツポーズを心の中で行った。流石は五里いつさと先生!!ありがとう!!


 「放課後にあるに決まっているだろう?」


 前言撤回。この五里ごり先生め!!


 「さっさと体育館に迎え」


 くそ~。覚えてろよ!!

 俺は文句も垂れつつも体育館へと向かった。



**********



 体育館へと向かう途中に人がいた。

 ほっ、よかった。俺が1人で最後というわけではなかったらしい。

 安堵をついているとその人が俺に話しかけてきた。


 「遅刻とはお姉さん見逃せないなぁ~」


 腕には「生徒会長」と書かれた腕章、ワガママボディなスタイルで美人麗句を体現した女性が立っていた。


 「どうも」


 口数少なに横をスルーし通ろうとしたら右腕を捕まれ取られてそのまま腕挫ぎ十字固めを決められた。

 って痛いいいいいいい!!!


 「全くもう、お姉さんをスルーするからだぞ☆」


 地面に倒され右腕は女性、況してや美人さんのそのたわわに実ったその果実に触れていて、一見すれば「羨ましい」「妬ましい」のオンパレードだろうが当事者はそうはいかない。


 最早、腕の感覚が締め付けによる痺れによって無い。

 そして、痺れで感覚がないはずなのに痛い。

 さっきから左手でタップするも無視。

 

 なんだよこの地獄絵図。


 「うぎゃああああ!!」


 俺の叫び声を無視。

 いい加減離してくれてもいいんじゃないでしょうか、会長さん。

 スルーだけでこんな仕打ちは無いだろう。


 「いい加減にしろっ!!」


 自転車爆走で体力を浪費したが火事場のクソぢからを発揮し、なんとか抜け出した。

 

 「う・・・うぅ、ゴメンね。お姉さん、調子に乗っちゃった」


 会長は目を伏せ、女座りで女々しくもか弱い女をしていた。さっきの元気にアームロックをかけてきたテンションとは雲泥の差がありまくりである。よくもそんな三文芝居ができるものある。ふうぅ、ヤレヤレ。

 ホントにこの人は反省しているのかね?まったく。


 「用事無いんでしたら俺は体育館に行くので、そんじゃ」


 さっさと体育館に向かおうとしたら、会長さんが声を声をかけてきた。


 「用事ならあるわよん」


 どうやらあるらしい。面倒だがここで聞かないとまた、面倒な事になる。面倒を避けるために面倒を行う。なんてめんどくさい。

  

 「それで用事ってのは何ですか?」


 「飛鳥ちゃんをよんできて欲しいのよ」


 「自分で行けばいいじゃないですか」


 「私はここで舞子ちゃんに頼みごとよ」


 「はぁ、そうですか」


 「まぁ、最もそこの草むらの陰に舞妓ちゃんはいるんだけどね☆」


 と会長さんが言うと草むらの中から


 「ぶい」


 とピースをしてこちらを見てきた。頭に草が乗っかっているのはご愛嬌。

 

 「いや、いけよ!!明らかに暇そうじゃん!!」


 「いやいや、お姉さんたちはこれから新一年生でいい子をヘッドハンティングするという仕事があるのよ!! ね、舞妓ちゃん?」


 「・・・そう」


 「はぁぁ~、分かりました。行ってきます。で八雲さんはどこにいるんですか?」


 「多分、生徒会室よ」


 「それでは」


 そうして俺は、八雲さん探しにへと出た。


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