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旦那様が自由奔放で浮気ばっかりするのでざまぁし続けたらなんか可愛くなってきました  作者: 蒼井星空


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第1話 はぁ?離婚ですか?それをやったらあなたが破滅しますが大丈夫でしょうか?

「きみとの結婚生活は終わりだ。離婚しよう」


 え~と、おはようございます、皆さま。

 私はユフィ・フライネルト・クルスローデン。


 女ではありますが両親が病気で他界したため、偉大なる国王陛下よりクルスローデン伯爵の地位を賜っております。年は女性に聞くものではないなどとよく言われますが、それでは困ると思うので先に言いますが24歳です。


 花の咲くようなと表現される乙女の時代はとっくに終わり、学院は特に問題なく卒業し、親の決めた婚約相手の方と結婚して今に至ります。


 もちろん領地の経営にも問題はありません。



 問題があるとしたら目の前のこの方……私の旦那様でしょうか。


 今日も朝から離婚だなどとのたまっておられます。


「はぁ、それで、離婚してどうされるのですか? 行先はあるのですか?」

「なっ、旦那様と離婚するのですから出て行くのはあなたですわ!」


 もう1つ問題の人がいましたね、私の目の前に。どうやら旦那様の浮気相手のご様子ですが、盛大な勘違いをされているようです。


「なぜでしょうか? この家は女伯爵である私のものです。執事、侍女たちもみな、伯爵家につかえる者たちです。財産もすべて伯爵家のものです。つまり、旦那様は伯爵である私と結婚しているからここに住めたわけで、離婚したらここにいる理由はなくなるのですが?」

「なっ」

「えっ?」


 え~と、そんなことも知らずに浮気をした上に離婚を切り出したのでしょうか?


 そもそも旦那様、あなたは伯爵家の仕事を何ひとつとしてやっていませんよね?


 親の決めた相手だから我慢しておりましたが、頭が悪すぎて勘弁してほしいのです。この方の利点は公爵家の子供という点のみなのです。


 もちろん、せっかく得たご縁ですから、公爵家との事業も行っていてとても順調ですわ。


「もし僕がいなくなったら、きみはアーゼンベルク公爵家とのつながりを失うだろう? それでは領地経営に甚大な影響を与えるだろう。そうなりたくなかったら、僕に屋敷と爵位をよこしたまえ。それで問題はなくなる」

「不可能ですわ」


 なにを言っているのでしょうかこのバカは。爵位は国王陛下がお認めになるものです。仮に私が旦那様に爵位をと言っても鼻で笑われるでしょう。もし私が爵位を手放すとしたら、王家に返上するという方法しかないのですから。


 ちょっと執事長。どこへ行くのですか?


 呆れた表情で出て行かないでください。そう思いながら私は執事長を睨みつけます。彼は私の視線に気付いたのか、嫌そうな顔で部屋の隅に戻りました。


「あなた、不可能などと。財産が惜しいからと言って伯爵家を路頭に迷わせる気ですか?」


 誰かこっちで肩を怒らせているこのバカをとりあえず追い出してくれませんか?


「迷わせるも何も、私は爵位を誰かに譲ることなど許されておりません。可能なのは王家に返上することだけです」

「なるほど。では返上しろ。そして僕はそれを頂きに王宮に向かう」


 これは新手のコメディか何かでしょうか?


 王家としては前代未聞の珍事でしょうね。


 もし私が商人や平民だったら面白い話として興味を持つかもしれませんが、これを言っているのが私の旦那様……教育を怠った公爵家にクレームを入れましょうか。


「さすがはエラルド様。これで安泰ですわね」


 きっと牢屋で安泰ということですわね?


 なんの功績もないのに王家に爵位を要求したバカとして間違いなく笑われる生活が待っていますわ。


「旦那様。そろそろ朝から喜劇を披露するのは終わりにしていただけますか? これから会議なので私は失礼しますわ」

「なんだと? 喜劇だと!?お 前!! おい、執事長なにをする。おいっ! 話を聞け! お前許さないぞ! 首だ! お前なんか!」


 この方は昔から癇癪持ちで、我が儘(わがまま)なのですが、努力や修練といったことを全くしてこなかったのでとても貧弱です。執事長にあっさりと首根っこを掴まれて連れていかれました。


「すみませんが、有能な執事長を首にする権限はあなたにはありませんわ。しばらくお部屋で反省なさってください。あぁ、公爵家にはクレームを入れておきますので、なにを言われてもムダですわ。では失礼します」

「おいっ!放せ!僕は伯爵だぞ!無礼者!放せ!」


 伯爵を騙った痴れ者として逮捕監禁してもよろしいでしょうか?


「あなた何をするのですか? 旦那様を拘束させるなんて、それでも妻ですか!?」


 もう1人バカがいましたね……。どう見ても下級貴族か平民のけばけばしい女……こんな方があのバカの趣味なのでしょうか?

 

 もしそうならさすがに幻滅です。


 芸術的センスだけはあるのかと思っていたのですが……。


「放して! 何をするの! 放しなさい!」


 こっちのバカには遠慮する必要性が皆無なので騎士を呼んでつまみ出しました。



 朝から珍妙な寸劇を見せられた私は気を取り直して職務に励みました。


 なお、クレームを入れた先の公爵家からはすぐに謝罪文と詫びの品が送られてきました。


 さすがのセンス……というか情報網で、私が欲しいと思っていた画家の絵でした。現公爵は旦那様のお兄様です。どうしてこういった細やかな対応を実行する能力が旦那様には皆無なのでしょうか。お義兄様が全て持って行ってしまったのでしょうか?


 ちなみに前公爵様は旦那様のことを可愛がりすぎて教育を怠ったとのこと。

 本来なら他家に婿に入るのであれば相応の教育を親が責任を持ってすべきですが。


 そして家臣たちは旦那様のことには関わらなかった模様です。彼らに責任があるのは次期当主の教育ですから。


 それでお詫びということなのでしょうか?


 不思議なことですが、公爵様が私的に親しい方々を集められた夜会へのお誘いもいただいたので1人で行って参りました。既婚者にもかかわらず1人で参加したのに、気兼ねすることのない、楽しい会でしたわ。

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