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異世界極悪レスラー〜感謝されると即死するので、全力でヒール(悪役)を演じてたら世界最強の魔王としてバズっていた件〜  作者: 早野 茂
【第1章】異世界リングイン!〜姫騎士とドラゴンの洗礼〜

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第10話:新人全滅!? 課外授業は「骨」を断つ

「オラァッ!死にやがれ!」

ゴロツキの一人が錆びた剣を突き出した。

狙いは轟田の脇腹。

あまりに単純な軌道だ。

レオなら半歩下がってかわしカウンターで喉を潰すだろう。

所要時間0.5秒。

リスクゼロの最適解だ。

「……フンッ!」

だが轟田は避けない。

あえて一歩前に踏み出し胸板を突き出した。

ドスッ!!

鈍い音が響き切っ先が轟田の大胸筋に突き刺さる――ことはなく、皮膚の上でピタリと止まった。

「な、なんだぁ!?」

「蚊が止まったか?」

轟田はニヤリと笑い突き出された剣を素手で掴んだ。

バキンッ!

鋼鉄製の剣が、飴細工のようにへし折られる。

「ひぃっ!?」

「次はこっちだ!」

轟田は裏拳バックハンドブローを放った。

男が吹き飛び、背後の仲間を巻き込んで壁に激突する。

「な……なんでだよ!」

後ろで見ていたレオが叫んだ。

「なんで避けないんだよ!今の攻撃、見てれば余裕でかわせただろ!わざわざ受ける必要なんてないじゃん!」

非効率。無駄。理解不能。

レオの計算式に轟田の行動は当てはまらない。

轟田は次の敵をヘッドバットで沈めながら肩越しに答えた。

「かわしてカウンター?……セコいんだよ」

「はあ!?」

「敵の技を受けて、その威力を客(観客)に伝えて、その上で勝つ!それが『強い』ってことだ!」

轟田は両手を広げ残りのゴロツキたちを挑発した。

「さあどうした!もっと強い武器はねぇのか!俺様の筋肉を傷つけられるモンなら持ってきやがれ!」

「こ、この野郎ォォッ!」

リーダー格の男が巨大な戦斧を振り回して突っ込んできた。

風を切る音。

当たれば即死の重撃。

レオが息を飲む。

(バカか!あれは流石に受けられない!避けろ!)

だが轟田は動かない。

仁王立ちのまま全身に力を込める。

《敵対行動(殺意)を確認。防御力上昇(大)》

ガガガガガッ!!!

戦斧が轟田の肩口に直撃し火花が散った。

だが轟田の足は一歩も下がらない。

「ぐ、ううおおおおおッ!!」

轟田が咆哮する。

首の血管が浮き上がり、鋼のような筋肉が戦斧を弾き返す。

「な、何だこいつ……人間じゃねぇ……!」

男が恐怖に顔を引きつらせる。

轟田はニカっと笑った。

「いい一撃ヒットだ……。だが軽ぃな」

「ひっ……!」

「痛みを知らねぇ攻撃は上辺だけで軽ぃんだよ!本物の痛みってのはなぁ……こういうもんだァッ!!」

轟田の頭突きが炸裂した。

ゴッ!!!男の鼻が潰れ意識が飛ぶ。

轟田は倒れゆく男の襟首を掴み強引に引き起こした。

「まだ終わってねぇぞ!フィニッシュは……垂直落下式DDT!!」

ズドンッ!!!

脳天から地面に突き刺さる。

男はピクリとも動かなくなった。

圧倒的。

理不尽。

そして――目が離せないほど強烈な存在感。

レオは言葉を失っていた。

自分の戦い方は「正解」のはずだ。

最小の労力で最大の結果を出す。

それが賢い生き方だ。

だが目の前の男の戦い方は「正解」を暴力でねじ伏せて「物語ドラマ」を作ってしまった。

(……なんだよ、あれ)

(無駄だらけで、非効率で、バカみたいで……)

なのに、なんであんなに――デカく見えるんだ。

ゴロツキたちは全員伸びている。

轟田はフンと鼻を鳴らしレオの方へ歩いてきた。

「どうだ小僧。少しは勉強になったか?」

「……ふん。バカの戦い方だね」

レオは精一杯の強がりで答えた。

だがその声には先ほどまでの「冷笑」はなかった。

「あんなの、いつか死ぬよ。見てて危なっかしくてしょうがない」

「カッカッカ!心配してくれんのか?優しいなお前」

「し、してねーよ!」

レオは顔を赤くしてそっぽを向いた。

轟田はアリスを見た。

アリスもまた、やれやれという顔で笑っている。

「で?どうするのよ、この子」

「決まってんだろ」

轟田はレオの頭に、その大きな手を乗せた。

ポン、と乱暴に。

「俺様の付き人(弟子)にしてやる。……その『効率』とやらで、俺様の無駄ロマンをサポートしてみろ」

「……はあ?」

レオは轟田の手を振り払おうとしたが、その手は意外にも温かかった。

「勘違いすんなよ。アンタみたいな時代遅れ(ロートル)、放っておいたらすぐ死にそうだから……俺が『介護』してやるだけだ」

「カッカッカ!介護だァ?生意気な口だ!」

轟田は嬉しそうに笑いレオの背中をバシッと叩いた。

「ぐえっ!?」

「よろしく頼むぜ、相棒パートナー!」



夕暮れの街道。

大男と、騎士姿の少女、そして小柄な少年の三人が歩いていく。

「おいレオ!荷物が重いぞ!もっと効率よく持てねぇのか!」

「うるせーよ!自分で持て筋肉ダルマ!」

「あらあら、仲がいいこと」

新たな仲間を加えサタン・ゴウダ一座の旅は続く。

目指すは次なる興行地。

そこには知識と理屈で武装した「魔法都市」のインテリたちが待っている。

筋肉は理屈を越えられるのか?

悪役の旅路に、平穏な日は来ない。


(第1章・完/第2章へ続く)

第1章完結!

新弟子レオ加入。

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