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始まりと終わり

 僕が、一体何をしたというのか。何が、いけなかったのだろうか。


 頬についた肉片が、潰れた眼球が、どれだけ洗っても落ちてくれない。


 彼の血走った目が、僕を捉えて逃さない。(まさぐ)られた感触が、体に染み付いて消えないのだ。


 なんでこんな目に遭わないといけないの? 


 そう問いかけるも、答えはどこからも返ってこない。



 返事の代わりに、むせかえるほどの血の臭いが、鼻腔を満たした。







※※※







 血の臭いと共に目が覚める。最初に感じたのは、鼻を刺すような悪臭と倦怠感だった。


 重たい瞼を開けるも、視界が真っ暗で何も見えない。それに、またしても口元と手足に違和感。


 手が後ろに固定されていて動かせない。足も全く動かない。


 いや、これは……全身が動かなくなっている。それに、何か体勢がおかしい。


 寝る時は確かにマットレスの上で寝たはずだ。だが、この体勢はまるで椅子に座っているかのようだ。背中と臀部(でんぶ)に伝わる感触から、僕が何かに腰掛けていることがわかる。



「あぁ、起きたんだね。お腹は空いてない?」



 そうして状況を確認していると、すぐ側からラーミナさんの声が聞こえて来た。優しげな声色は、こんな状況じゃなければ安心して力を抜いてしまいそうなものだ。だが、今は逆にそれが恐怖を煽った。


 相変わらず視界は何も映さず、口元も塞がれていて上手く喋れない。嫌な予感に、じっとりと背中が汗ばむ。



「スープを作っておいたんだ。今持ってくるよ」



 カツカツと、足跡が遠ざかっていく。心拍数の上昇によって、その音がやけにはっきりと聞こえた。


 一体何が起きているのだろう。昨日の夜は、体を洗って、そのまますぐに寝たはずだ……。


 何故僕は拘束されているのか、ここはどこなのか、何故視界が塞がれているのか……何もかもがわからない。いくら考えても答えは出ず、ただただ恐怖が募っていく。


 しばらくして再びラーミナさんが戻ってくる。そしてスープとやらを持って来たのだろう。芳ばしい匂いがあたりを漂う。だが、先程から感じる悪臭が混ざってしまい、なんとも言えない不快な匂いとなっていた。視覚が抑制されている分、その他の五感が普段よりも研ぎ澄まされており、余計に気分が悪くなる。



 近づいてきたラーミナさんの、しっとりとした息遣いが耳を撫でる。僕はどちらかというと男性寄りの性自認だ。普段なら殊更心地よく感じるはずのそれに、今は体の震えが止まらない。


 得体の知れない不気味な雰囲気を、今の彼女は纏っていた。


 喋ることもできない僕を置き去りに、ことりと、おそらく食器をテーブルに置くラーミナさん。そのまま再び言葉を重ねる。



「口の枷は取るけど、大声を出しちゃダメだよ? 外には怖い人達が沢山いるからね……良い子にしてるんだよ」



 そう言って彼女は僕の顔に触れる。もぞもぞと動く手が擦れて擽ったい。


 しばらくして、僕の口を塞いでいた何かが外された。相変わらず視界は塞がれており、周りがどうなっているのかは確認できない。だが、先程から感じていた息苦しさは幾分か和らいだ。



「らー……み、なさん?」


「あはは! うん、あたしがラーミナだよ」



 妙に掠れた声で名前を呼ぶと、なぜだか笑い出すラーミナさん。その笑い声はいつもと変わらず朗らかだ。それがこの状況とチグハグに感じられて、気味が悪く感じる。



「どう……して?」


「どうして? あぁ、それか。ごめんね、今のアモールちゃんは外に出しておけないからね……」



 そう言って、僕の頭を撫でる彼女の意図は読めない。何を言っているのか全く理解できなかった。だが先程と打って変わって真剣な声色で、少し冷たい空気が漂っている。



「まぁ、それはいいんだ。冷める前に食べよう」



 そしてすぐまた普段通りの雰囲気に戻るラーミナさん。何かを引く音と、ギシギシと軋む音が聞こえる。


 布の擦れる音と共に、彼女の息遣いが先程よりも近くなった。その高さから察するに、椅子を引いてきて近くに座ったのだろうか。



「ほら、口を開けて。何を躊躇ってるの? はい、あーん」



 頭を撫でながら僕に口を開けるよう言ってくる彼女に、一瞬どうして良いか分からず硬直する。しかしどことなく得体の知れない恐ろしさに、震える唇をそっと開く。



 開いた口の中に、ゆっくりとスプーンが差し込まれた。丁寧に、壊れ物を扱うかのようにゆっくりと引き抜かれるスプーン。温かいスープが口の中に広がる。


 状況が全く読めない。朝起きたら全身を拘束されていて、なんの説明もなく急にスープを食べさせられている。わけがわからない。昨日に引き続き、まだ出来の悪い夢でも見ているのだろうか。これが夢であったらいいのにと、変わらず淡い希望を持ってしまう。



 だが、そうして混乱の極致にいる僕を置いて、ラーミナさんは黙々とスープを僕の口に運ぶ。


 正直、立て続けのストレスで味が全く分からない。それにスープの匂いに混ざった悪臭によって吐き気を催してしまう。それでも何とか頑張ってスープを飲み込んだ。状況がわからない中、彼女の言うことに逆らってしまうのが怖かった。


 この臭いは一体なんなのだろう……嫌な、臭いだ。



「わた、しは……今どうなって……る、の?」


「うん?」



 何とか恐怖を押し殺して、彼女へ話しかける。それに、怖いほど柔らかな声で聞き返してくるラーミナさん。



「体が……動かない」


「あぁ、ごめんね。外は危ないから。君が勝手に出ていっちゃうと困るし、拘束させて貰ったんだ」


「なんで……目も、塞いで……」


「ちょっと、色々あってね。君には少し刺激が強いから、もう少しだけ我慢していてほしい」



 外は危ないとは、どういうことなのだろう。結局よくわからない。


 それに、先程から感じるこの()()……とても、嫌な予感がする。


 体を動かそうとするも、紐が体に食い込んで、うまく動くことができない。手は椅子の後ろで縛られており、足と胴も椅子に縛り付けられている。僕の筋力じゃとても抜け出せそうになかった。昨日もこうして……目が覚めたら手足が縛られていて……


 ゾワリと、全身が粟立つ。



「い、いやだ。外して! いやだ!! 助けて……誰か!!! …………んむぅ!」



 急にどっと胸の奥底まで恐怖が押し寄せてきて、思わず叫んだ。しかしすぐにラーミナさんに口元を押さえられてしまう。


 自由の聞かない体に、涙が溢れてくる。目元を覆う何かに遮られて、涙がべったりと目の周りを濡らした。



「大丈夫、あたしが守ってあげるから。怖がらないで。ずっと…………あたしがお世話してあげるから」



 違う、僕が怖いのは貴女なんだ。そう叫ぼうとしても口を塞がれていて叶わない。そんな僕を愛おしそうに撫でて、ぎゅっと抱きしめると、再び口元に何かを巻き付ける。また、声を出せなくなった。



「食器を片付けてくるから、良い子で待っていてね」



 遠くへ、おそらく厨房へと動いていく足音を見送り、一人脱力する。



 どうして。この二日間で、一体何度そう呟いたことだろうか。もう、何も考えずにただ成り行きに任せていくのが正解なのかもしれない。弱い自分は、こうして強者に好き勝手されても一切の抵抗ができない。


 でも、ラーミナさんは決して悪い人じゃない。何か、理由があってこんなことをしているはずなんだ。


 そう、信じていたくなる。でも、同じように信じていたルピウスさんは……あんな風になってしまった。だから、信じたくても、胸の内を不信感が満たすのだ。


 それに、この死臭は一体何なのだというのか。あのラーミナさんのおかしな言動は……。



 心が絶望の中に沈んでいく。凄まじい倦怠感が体を包む。何だかもう、何もかもどうでも良くなってきた。



『次はきっと、良い人生を』



 ふと、あの時出会った自称女神の言葉が脳裏に蘇る。あの女神の表情の意味が、今になってわかったような気がする。あいつは、全部知っていたのではないだろうか。


 どこが良い人生なんだ。初めてできた友人は、僕を裏切って……そして目の前で死んだ。今もまだこんなわけのわからない状況から抜け出せないでいる。これからどうなっていくのかもわからない。



 絶望の次にやってきたのは、激しい()()だった。



 なぜ僕が、こんな目に遭わないといけないんだ。前世でも散々苦しんで、どうして生まれ変わってまでまた嫌な思いをしないといけないんだ。


 そんな想いが、沸々と湧き上がってくる。感情の昂りに合わせて、体の中で魔力が高まる。


 既に上級魔術師ほどにある魔素量。それが怒りで、体内に荒れ狂う。漏れ出した魔力によって、椅子がカタカタと揺れ始めた。



 そして、そんな魔力の奔流によって、目元を覆っていたものが、ほんの少しズレた。



 右目だけ露わになり、視界が開ける。久しぶりに網膜が光を捉え、部屋の景色を映し出した。


 窓が閉じられているのか、光はほとんどなく薄暗い。魔力によって木粉が舞い上がり、チンダル現象によって窓から光の筋が差し込んでいるのが見える。


 ──そしてその光の先には、大きな血溜まりが。


 ひぅっと、喉が引き攣り妙な音が漏れる。



 血溜まりに浮かんでいるのは…………身体中に穴が空いた……アベラルドさんの亡骸だった。



 感情が行き場を失い、荒れ狂っていた魔力が鎮まる。呆然と死んだアベラルドさんを見つめる僕の元に……ゆっくりと足音が近づいてくる。


 機械仕掛けの人形のように、うまく動かない首を動かし足音の方へ目を向ける。



 そこには、目に怪しげな光を湛えて……血塗れのまま微笑むラーミナさんがいた。



 心が、ポキリと折れる音がした。



 全身が血で汚れているのに、全く意に介していないかのように、こちらを見つめている。そのあまりにも狂気的な姿に、脳が許容値を超えた僕はもはや恐怖も湧いてこない。



「ダメじゃないか、大人しくしているよう言ったのに」


「んぅ!! むぐ、むぅぅ!!」



 僕がアベラルドさんに目を向けて唸ると、その視線を追って、ラーミナさんも彼を見る。そして興味なさげに目を逸らした。



「あぁ、こいつなら、アモールちゃんを襲おうとしたからつい殺してしまったんだ。まぁ……アモールちゃんに危害を加えるような奴なんて、いらないよね」



 ふふふ、と妖艶に笑って、僕の側まで歩くと、そのまま目を覆っていたものを取り去る。それをそっと机の上に置いた彼女は、幼子を宥めるように、僕の頭を優しく撫でた。



「もう見ちゃったなら、目隠しはいらないね。やっぱり君の目は……綺麗だね。こうして見えている方が、ずっと可愛い」



 そう呟く彼女の声が、なんだか遠いものに感じる。彼女の声音は、いつも通りで……


 なんで、どうして……あんなにも…………仲のいい夫婦だったのに。


 一緒に住んでいて、何度も彼らの仲を見せつけられた。寡黙なアベラルドさんと、活発なラーミナさん。なんだかんだで不思議と相性の良い二人は……本当に幸せそうだった。



 なのに何で……ッ! 何でこんなに平然としていられるの……!? 



 夫の亡骸に、ゴミを見るかのような視線を向けるラーミナさんに、なぜか僕の方が心を抉られた。ナイフで刺されたように、ずきりと胸が痛かった。


 ルピウスさんも、ラーミナさんも……こんな人じゃないはずなのに……。



「ど、どうして泣くの? どこか痛かった?」



 目から涙がぼろぼろと溢れて止まらない。そしてそんな僕を、心配そうに見つめる彼女に、胸が痛んで仕方ない。僕を見るその優しい目は、いつものラーミナさんと同じなのに。夫の血を浴びて、何でそんな顔ができるのかがわからない。



 あぁ…………僕が関わったからこんなことになっちゃったのかな……転生者なんていう、異物が、みんなに関わっちゃったから……こんな……。



 もう……いやだ……



 口の中をしょっぱい味が満たす。涙が枷の間から、口元まで流れてくる。その様子をオロオロと眺めるラーミナさんが見ていられなくて、そっと目を閉じた。



 ────その次の瞬間、僕を椅子ごと抱えたラーミナさんが後ろへ大きく飛び退いた。そして僕を守るように前に出る。その手にはいつの間にか槍が握られている。


 急な動きに感情が追いつかないでいると、大きな音を立てて扉が木端微塵に吹き飛んだ。


 外から日光が差し、急に部屋の中が明るくなる。ラーミナさんの体で隠れて上手く見えないが、壊れた扉の奥から、何者かが歩いてくる。



「……そういう判断力は……残ってるんだね」



 そう言って建物へ入ってきたのは、パーティメンバーの一人であるアーテルさんだった。黒く長い髪を揺らし、気怠げに構えている。


 ラーミナさん越しに、ばちりと目が合った。その瞬間、大きく目を見開く彼女。



「あぁ……なるほど……これは、やばいね…………。やっぱり、リシテアを呼んで……正解だった……」


「一応、何をしにきたか聞いてもいいかな。物騒な入室だけど」


「あなたこそ……随分と物騒ね……」



 ため息を吐いて顔を顰めたアーテルさんが、地面に横たわる亡骸を見る。もう一度ため息を付くと、僕の方をじっと見てきた。



「流石にこの状況で……その子を放置しておく訳にはいかないわね……」



 それを聞いたラーミナさんが床を蹴り、一気にアーテルさんへ肉薄する。砕けた床から木片が飛び散った。


 その勢いのまま容赦なく槍を突き出すラーミナさん。しかし見えない壁に穂先が逸らされ、その隙に斜め前へと跳んだアーテルさんに僕への接近を許す。慌てず槍を構え直し、再びこちらへと跳ぶラーミナさんへ、今度は横から何かが飛来した。


 僕には何かが複数飛んできたことしか見えなかったが、槍を巧みに操って全て叩き落とすラーミナさん。叩き落とされたものを見ると、3本の氷の矢であった。外から飛んできたそれを警戒しているのか、彼女の動きが一瞬止まる。僕の位置からではほとんど外が見えず、状況がわからないが、何者かが横槍を入れてきたのだろう。



「Ὦ πνεῦμα, δείκνυέ μοι τοὺς λόγους τοῦ κόσμου」



 そうして一瞬ラーミナさんが止まった隙に、凄まじい早口でアーテルさんが何かを唱える。それが何語なのか全くわからなかったが、何故だか魔術の詠唱だということだけはわかった。詠唱と共に、真っ黒な剣が手元に現れる。



「後衛だからって……近接ができないと思ったらダメね……」



 次の瞬間、先ほどとは比べ物にならない速度でアーテルさんが踏み込んだ。それをラーミナさんが迎え撃つ。


 剣と槍が、凄まじい速さで交差する。剣を少しは齧った僕だが、全く目で追えない。ただ二人の体がぶれ、金属がぶつかり合って火花が散っている様子がところどころ見える程度だ。だが、ラーミナさんがやや押され気味なように見えた。


 剣戟が鳴り響き、何事かと、家の周りに野次馬が集まってくるのを感じる。それに焦ったのだろうか、ラーミナさんが一際鋭く踏み込んだ。その瞬間、アーテルさんの姿も掻き消える。



 僕には何が起きたのか見えなかった。だが、結果的にラーミナさんが負けたのだろう。黒い剣を手にしたアーテルさんと、真っ二つに切られて穂先のない槍を持ったラーミナさんが立っている。



「Ὦ ξίφος ἀνέμου, σχίζε」



 その詠唱と同時に、凄まじい風が部屋の中に吹き荒れる。風の刃が直撃し、ラーミナさんの手足から血が吹き出した。そのまま吹き飛んで倒れる彼女を尻目に、僕の方を向くアーテルさん。


 風の刃が僕の側を通り抜け、僕を縛っていたロープを全て切断した。ついでに口元の枷も取り払われる。驚くほど精密な制御だ。



「じゃあ……君はそこから逃げて……あっちにいる……白髪の子についていけばいいから……」



 彼女に指差されて後ろを見ると、壁が綺麗に切り裂かれていた。先程の風が当たったのだろう。怒涛の展開に全くついて行けない僕は、訳もわからず慌てて立ち上がる。震えて言うことを聞いてくれない足をなんとか動かして外へ向かう。


 だが、後ろから聞こえて来た悲痛な声に思わず動きを止めた。



「待ってくれ、アモール! ダメなんだ……今の君が外へ出たら…………あたしが守るから、だから、行かないでくれ……ッ!!」



 そんな声を聞いていられなくて、後ろを振り返る。手足の筋を切られて脱力したラーミナさんが、こちらへ懸命に手を伸ばしていた。


 その痛ましい姿に、つい彼女の元へ駆け寄りそうになった。先程まであんなことになっていたと言うのに。自分でも何故なのかわからない。ただ、恐怖よりも不思議と罪悪感が上回って……。



「ねぇ……早く行って……外の連中が、そろそろ入って来ちゃう」



 はぁ、っとため息を吐いた彼女が何かを唱えると、僕のすぐ側に大きなカラスが現れた。あの時、僕を助けてくれたカラスだとすぐに気づく。


 カラスは僕に体当たりをして、外に向かわせようとする。足が震える僕は抵抗できず、たたらを踏んだ。



 そんなカラスに押されて外へ出ると、周りには大勢の人がいた。僕を好奇の目で見つめる人だかりに、昨日のルピウスさんの姿が脳裏に浮かび、思わず吐き出しそうになった。好奇の目が、ナイフのように僕の体に突き刺さる。


 周りの人達にルピウスさんの姿が重なって見え、小さく悲鳴を上げる。足が竦み、そのまま座り込んでしまいそうになった。



 カァー! カァー! カァー! 



 そんな僕を見かねたのか、カラスが大きく鳴いて僕の頭を突いてくる。我に返った僕は、ゆっくりと飛び去って行くカラスを急いで追った。


 僕を見つめる群衆から逃げるように走っていると、突如誰かに手を掴まれる。まともに抵抗もできず、理解が追いつく前に強い力で引っ張られた。


 そのまま勢いよく路地裏へ引きずり込まれる。突然の出来事に悲鳴を上げそうになるが、手で口を塞がれ、ガバッと体を密着させて建物の壁に抑え込まれる。


 気がつけば、身動きが取れないようになっていた。いわゆる壁ドンというポーズだ。そして、それを為した人物は僕より少し歳上くらいに見える白髪の少女であった。


 いきなり真っ白な顔が目と鼻の先に現れ、思わずごくりと唾を飲む。長いまつ毛がキラキラと輝く目の上に影を作っているのがクッキリと見える。なんだか、すごく透き通った綺麗な青い目だなと思った。



「大丈夫、私は敵じゃないから。落ち着いて、ゆっくり深呼吸。暴れないでね」



 僕の口から手を離した少女は、周りをキョロキョロと見回し、僕の目をじっと見つめる。



「私はリシテア。アーテルの友達だよ。取り敢えず……何が何だかわからないだろうから、一旦身を隠せる場所にいこっか」


今回で毎日更新は終わりです。

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