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新訳三國志演義  作者: 篠原2
幼少期

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幼少期 第七十一話

壺を運び始めた劉備と少年だったが運び始めてからは特に問題もなく壺の移送作業が進んでいき、何も起こる事なく無事に運び終わるとすぐに濾過装置の作成作業に入ったのである。

そしてこの時になって劉備は、


「…あ!しまった!椅子の事を完全に忘れてた!」


と、言って叫んだのであった。

これに一緒に壺を運んできた少年が、


「うわ!びっくりした!!どうしたの玄ちゃん?」


と、言って劉備に声を掛けてきたのである。

これに劉備が、


「憲兄ちゃんと一緒に濾過装置を作った時は下に椅子を置いてその上に濾過装置を置いたのよ。でもさっきはその事を言い忘れちゃった…。どうしよう…」


と、言って考え始めたのであった。

そんな劉備に少年が、


「ねぇ玄ちゃん、すぐに教えに行ってあげたら?」


と、言って話し掛けてきたのである。

これに劉備は、


「うん、それはわかってるの。問題は椅子をどうするかなのよ。また誰かから椅子を貰うにしても誰に頼めば良いのかとかを考えてたの」


と、言って少年に説明すると続けて、


「さてどうするか……」


と、言って再び考え始めたのであった。

この劉備の言動を見た少年が、


「…そうなんだ。色々難しいんだね…」


と、言って近くの石を椅子代わりにして座ったのである。

その様子をたまたま見た劉備は、


「…あー!!それだー!!」


と、言って絶叫したのであった。

これに少年が、


「うぇ!?今度は何、玄ちゃん!?」


と、言って劉備に尋ねたのである。

この少年の質問に劉備は、


「椅子の代わり!石を使えば良いんだ!水場だから近くに適当な石があるだろうし、そうしよう!」


と、言って答えると劉備は少年に、


「ねぇ君、ちょっと憲兄ちゃんへの伝言を頼まれてくれるかな?」


と、言って話し掛けたのである。

これに少年は、


「え?…良いけど、どんな伝言…?」


と、言って少し自身なさそうに劉備に聞き返すと劉備は、


「そんなに難しい事じゃないから大丈夫。憲兄ちゃんにね、椅子の代わりに石を下にしようって伝えてくれるかしら?多分憲兄ちゃんならそれで伝わると思うから」


と、言って少年に伝えたのである。

これに少年は、


「…うん、それぐらいなら大丈夫だと思う。…多分」


と、言って頷くと続けて、


「すぐに伝えに行っていいの?」


と、言って劉備に尋ねてきたのであった。

この少年の問い掛けに劉備は、


「ええ、すぐに行きましょう。私は子供達のところに行ってくるわね?」


と、言って答えるとすぐに子供達の元に駆け出していったのである。

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