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新訳三國志演義  作者: 篠原2
幼少期
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幼少期 第二話

一日一話投稿と言ったな、あれは嘘だ。(ええ…)

ストックがある間は一日二話、時間不定期投稿にします。

目的の言葉を母から引き出した劉備は母に、


「あぁ、そういう事ですか。…そう言われてみれば確かに他の人達よりも長い耳だったような気がしますね。…でもそれがどうしたんで、す、か、は、母上!?」


と、言うと劉備の答えを聞いた直後にぼろぼろ涙を溢し始めた母に(演技では無く本気で)驚いて言葉に詰まり、それでもなんとか大きな声を上げたのであった。

一方の母は涙を流しながら天に祈りを捧げるように手を合わせると、


「あぁ、あの子が…玄徳が…私達の事を…」


と、言いながら流れる涙を拭う事もせずに劉備に声を掛けたのである。


「いきなりごめんなさいね、玄徳。あの子が今も私達の事を気に掛けてくれていると思うと嬉しくなってしまって…」


そう話す母に劉備は、


「…母上、とりあえず涙を拭いてください。食卓が大変な事になりますよ?」


と、言って涙を拭くように促したのである。

その言葉で始めて自身が泣いている事に気付いた母が涙を拭うと改めて劉備に話し掛けるのであった。


「ごめんなさいね。あの子が…玄徳が私達の事を今も思ってくれていると思うと嬉しくて…」


「…?私が私達を思ってくれているってどういう事ですか?」


ほぼ全てがわかっていながら尚もわからないふりの芝居を続けて母に話を続けさせる劉備。

そして劉備が芝居をしている事に全く気付く気配の無い母はそのまま続きを話すのだった。


「あぁ、ごめんなさい。私の言ってる玄徳はあなたの兄の玄徳の事よ」


「え…?兄上の…?」


「ええ。多分あなたの夢に出てきた男の子はあなたの兄の玄徳だと思うわ」


「そうですか…兄上が…」


そう口に出し、殊勝な態度を見せる劉備だったがその心の中では、


「よっし、騙されてくれた!」


と、叫びながらド派手なガッツポーズをキメていたのであった。

そしてそんな劉備の心の中の状況を知る事の出来ない母は劉備の言葉を完全に信じたまま劉備に声を掛けたのである。


「それであの子は何て言っていたの?」


「えぇっと、自分は今、天の国?っていうところにいてそこで暮らしてる。天の国には今までに見た事も聞いた事も無い物で溢れてる。その中から私達の国でも作れそうな道具や役に立ちそうな教え?を私に教えるって言ってきました」


「…天の…国?よくわからないけどあの子はそこにいるのね?それにしても…天の国の道具ってどんなのがあるのかしら…?」


母の言葉に劉備は再び心でガッツポーズをキメて同時に、


「よし、食い付いた!」


と、心で半分くらい勝利の雄叫びを上げたのである。

そうして劉備は母の言葉に答えるように天の国の道具、という名の未来知識の解放を始める事にしたのであった。


「とりあえずって言って教えてくれたのが火起こしが簡単に出来るようになる道具と水をきれいにする方法の二つでした」


「…火起こしが簡単になる道具と…水をきれいにする方法…?それをあの子が…?」


「はい。火起こしの道具は発火器っていう名前だそうです」


「…はっかき…」


「はい」


「…それってどういう物なのかしら…?」


「ちょっと待ってください。今から作りますから」


そう言うと劉備は発火器=ファイアーピストンを作る為に必要な道具を集めて回り始めたのである。

ちなみにこの発火器=ファイアーピストンという着火道具は元々東南アジア地域で使われていた火起こしの道具で大航海時代に現地を訪れたヨーロッパ人が現物を見て驚愕、自国に持ち帰って使用されるという歴史を辿り、マッチの登場でこのファイアーピストン自体は消滅してしまうものの、ディーゼルエンジンの誕生に非常に大きな影響を与える事になる。

まあそんな話は置いておいてここで重要なのは劉備が本当にファイアーピストンを作るのに必要な道具を集められるのか?

そしてファイアーピストンを無事に作り上げる事が出来るのか?

この二つだったのである。

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