少女期 第七十一話
大工が表情を歪ませた次の瞬間、劉備がすぐに説明の続きを話していく。
「心配しないでください、馬車作りの作業を大工さん一人でやってもらおう、とかは考えていませんから」
「……うぁ? ……それは、どういうことだ……?」
「私が道作りに参加する時に、誰か一人、私の代わりに大工さんの作業を手伝う人を出してもらうように村長さんや皆さんにお願いしますから」
「……むぅ……それなら、なんとかなる……のか……?」
劉備の説明を聞いた大工が表情を直しながらそのように呟いていった。
そんな大工の様子を見た劉備は、必ず誰かと交代してくるから、と告げる。
そして続けて、それまでは大工一人で馬車作りをしていてほしいと頼んで、道作りの現場に向かうと話していった。
「はい。というかなんとかなるではなく、なんとかしてください。私も必ず誰かと交代してきますから」
「うむぅ……」
「信じてください。絶対に交代してきます。ですからそれまでの間、大工さん一人で馬車作りの作業を続けていてもらえないでしょうか?」
「……う~ん……」
「お願いします、大工さん……」
「……仕方ない、わかったよ……」
「そうですか! ありがとうございます!」
「ただし! 絶対に誰かと交代してその誰かをここに来させること! 良いな!?」
「わかっています。それじゃあ行ってきますね!」
「ああ、気を付けてな!」
劉備に誰かをここに来させることを確約させた大工が劉備を道作り現場に送り出していく。
これに劉備が元気良く手を振って応じながら道作り現場に走っていった。
その後無事に道作り現場に到着した劉備は、作業をしていた村長や村人達に手を振りながら近付いていく。
「……皆さーん! お待たせしましたー!」
「……うん? おお、劉備か!」
「劉備だって!?」
「本当だ! 玄ちゃんだ!」
「玄ちゃん! ようやく来たか!」
「はい、ようやく来れました。遅くなってしまい、本当にごめんなさい」
「いや、良いさ。こうしてこっちに来てくれたんだからな」
「はい……それで、到着して早々なんですけど、一つだけ私のお願いを聞いてはもらえないでしょうか……?」
「……うん? お願い?」
「……まあ、別に良いけど、なんだい?」
村長や村人達がやってきた劉備を歓迎するなか、当の本人である劉備が話しにくそうにお願いがあると口にしていった。
これに村長や村人達は若干警戒しながら、お願いを話してみろと言ってくる。
これを受けた劉備が、村長や村人達にお願いを話していった。
「ありがとうございます。それでは話します。誰か一人、私の代わりに馬車作りの手伝いに行ってもらえないでしょうか?」
劉備のお願いに、村長や村人達は顔を見合わせる。
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