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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第六十九話

劉備から自身が手掛けたヨーロッパ式馬車の屋根に太鼓判を押してもらえたことにめちゃくちゃに喜んでいく大工。

そんな大工の姿を見ていた劉備は、改めてとんでもないことを頼んでしまったと反省をしていった。

そうして黙り込んでいった劉備に、喜びながら大笑いをしていた大工が笑うのを止めて声を掛けていく。


「あっはっは! わっはっは! あーーっはっはっはっはっ!!」


「……」


「わーっはっはっは! ……うん? 玄ちゃん?」


「……」


「玄ちゃん? どうかしたのか?」


「……えっ? あ、はい、な、なんでしょうか?」


「いや、こっちが笑っている間、全然なんにも反応してくれないからどうかしたのかな? って思ってさ」


「ああ、そういうことでしたか……ごめんなさい、少しだけ考え事をしていたものですから……」


劉備は声を掛けてきた大工に対して考え事をしていたと正直に話していき、謝罪の言葉を伝えていった。

そんな劉備に大工が、その考え事は今作っている馬車の次の作業についてなのか? と尋ねてくる。


「ふむ、考え事か……なあ玄ちゃん、その考え事っていうのは、次の作業についての考え事だったりするのかい?」


「……ええ、そうですね」


「そうか……次はどうするんだい?」


「そうですねぇ……もうほとんど完成と言ってもいい状態にはなりましたから、一台目の馬車はこれで終わりでいいかもしれません」


「おお、そうか! ……うん? それじゃあ次の作業っていうのは……? それに、今一台目って言ったか……?」


「ええ、言いましたね」


「……ということはなんだが、もしかしなくても次の作業は……」


「……察しが良くて助かります。そうです、次の作業は二台目の馬車を作ることになります!」


「……ああ、やっぱりそうなるのか……はあぁ……」


劉備から次の作業の詳細、二台目の馬車の製作を始めると聞かされた大工がとても深い溜め息を吐いていく。

そんな大工が劉備が、自分も手伝うから、頑張って作り始めましょう! と声を掛けながら肩をポンポンと叩いていった。


「あはは、まあまあ。私も頑張って手伝いますから、すぐに二台目の馬車を作り始めていきましょう!」


「……はあ、玄ちゃんは元気だなぁ……本当に……」


「ふふふ、ありがとうございます」


「いや、褒めてないんだよなぁ……はあ、もう良いや……玄ちゃん、二台目の馬車作り、だったな?」


「はい、その通りです」


「仕方ねぇ、わかったよ。作ってやるからさっきの約束は忘れるなよ?」


「わかっていますよ」


念押しでテイルに約束を守れ、と話していく大工。

この大工の言葉を聞いた劉備は、わかっていると答えて大工を安心させようとしていった。

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