少女期 第六十話
手綱を取り付けた劉備と大工は、すぐに馬車の土台部分に乗って馬を歩かせてみることにした。
「よし、これで無事に取り付け作業は完了しましたね」
「ああ。それじゃあ実際に馬に引っ張らせて、無事に馬車が動くかを試してみようか?」
「はい、そうしましょう」
大工の言葉に頷いた劉備が馬車の土台から馬の操作を始めていく。
この操作に応じて馬が歩き始めると馬車の土台は軽く軋む音を立て、馬の歩く速度に合わせて進み始めた。
これに劉備と大工は喜んでいったのだが、まだ動き始めて間もない状態だったために沸き上がる感情を抑えて馬車の具合を慎重に見極めていく。
「……動き始めましたね……」
「うむ……」
「……今のところは……問題はなさそうですねぇ……」
「慌てるなよ、まだ動き出したばかりなんだからな」
「はい、わかりました」
劉備と大工は互いの顔を見ながらそのように話していき、馬車の土台が馬の力に耐えられるかを引き続き確かめていった。
「……今の速さならどれだけ移動しても問題はなさそうだな……」
「そうですね。それじゃあ少しずつ速くしていきましょう」
「おう」
「……まだ大丈夫ですね……」
「この調子なら、この土台も心配しなくて良さそうだ」
「そうですか! わかりました、ありがとうございます!」
「はは、まだまだこれからだろう? 礼を言うのはまだ早いぞ?」
「そうでしたね……それじゃあ馬車作りを再開させていきましょうか」
「ああ!」
馬に引かせる実験が今のところ成功したことで、劉備と大工は馬車作りの続きを始めていくことにする。
しかしここで村長と数人の村人がやってきた。
「さて、これからはこの土台にいろいろと取り付けていかないといけないのですが、なにから取り付けていきましょうか……」
「なにを取り付けていきたいのか、にもよるな。なにを取り付けたいんだ?」
「そうですねぇ……うん?」
「ん? どうしたんだ、急に、って、あ……村長さん?」
「それに村人達も来ましたね……なにかあったんですかね?」
「さて……まあとりあえず、話を聞いてみよう。考えるのはそれからでもいいだろう」
「わかりました。村長さん、皆さん、どうかしましたか? なにかありましたか?」
こうして村長達に声を掛けていった劉備と大工。
これに対して村長達は、少し怒りながら劉備達の声に答える。
「なにかありましたか? ではないぞ、劉備よ」
「そうだよ! たまにこっちの様子を見に来るって言ってたのに、全然来ないじゃないか!」
「二人でなにをこそこそとやってるんだよ!」
「……そうだ、忘れてた……」
村長達の言葉を聞いた劉備は、そう言って頭を抱えていった。
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