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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第五十七話

村人達からあがった悲鳴は大体次のようなものだった。


「いや、道具の修理などにも必要不可欠なんだが⁉」


「作業が丁寧で速いからどう考えても引き抜かれたら困る!」


「大工だけはやめてくれ! 他のやつならどれだけ引き抜いても良いから!」


このような悲鳴が劉備の耳に入ってきたのだが、劉備は大工抜きでの馬車作りは不可能だと考えており、村人達の悲鳴を無視する形で大工を馬車作りに引き抜いていくことを決める。


「……なるほど……皆さんの意見はよくわかりました」


「おお、そうか!」


「それなら……」


「ですが私は、馬車作りを大工さん抜きでやることは不可能だと考えています」


「……うん?」


「あ、あれ……?」


劉備の発言を聞いていた村人達は最初こそ自分達の意見が取り入れられたと思って喜んでいたが、急激に話が変わっていくことに変な声を出していく。

そんな村人達に、劉備がついに止めを刺しにいった。


「ということですので、やっぱり大工は馬車作りの方に引き抜かせていただきます」


「ええっ⁉」


「ひえっ⁉」


「そんなわけで村長さん、道作りの方は任せましたよ」


「……ふぅ、わかったよ。なんとかするからそちらも頑張って馬車を作り上げるのだぞ?」


「はい!」


「……! ……⁉」


こうして劉備と村長は互いに納得してそれぞれの作業を行おうとしたのだが、大工を引き抜かれることになった村人達はまだざわついていた。

そんな村人達の様子を見た劉備は、このままここから離れたら村長の負担が大きくなると判断して、ある約束をしてから離れることにする。


「……あの、村長さん、私はこのままここを離れても大丈夫なのでしょうか……?」


「う? ……う~む……まあできるならなにか対処をしてから馬車作りを始めてくれると助かりそうなんだが……」


「そうですよね……それなら……う~ん……」


「……なにか、思い付くか?」


「……そうですねぇ……あ、そうだ!」


「なにか思い付いたか?」


「はい。わかりました、皆さん!」


「……うん? どうした、玄ちゃん?」


「皆さんが大工不在での道作りが不安で仕方ないみたいですから、馬車作りの途中で何度か様子を見にきますよ」


「え? 本当に?」


「はい。馬車作りの気分転換も必要になるでしょうから」


「……馬車作りの、気分転換、ねぇ……」


「……うん? どうかしましたか?」


劉備が行った約束は馬車作りの途中で何回か道作りの様子を見に来て、手伝いや助言をすることだった。

これを伝えられた村人達は、そのなかの気分転換という発言に反応していく。

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