少女期 第五十六話
劉備から合格の言葉をもらうことができた村長達は、力が抜けたらしくその場にへたり込んでいった。
そんな村長達の様子を見ながら劉備は村長だけを立たせると、二人だけで村民達から少し離れていったあとに太守との交渉結果を話していく。
「……はあぁぁ……」
「……あれ? 皆さんどうかされましたか?」
「……全員がお叱りの言葉を受けることになるんじゃないかと思って緊張していたんだよ……」
「……なるほど、それで緊張が解けた瞬間、力が抜けてその場に座り込んでしまった、と?」
「まあ、そういうことだ。それで劉備よ、太守様との交渉はどうだったのだ?」
「それですか。まあここでそのまま話しても良いのですが、できることなら二人きりでゆっくりと話したい感じですね」
「ふむ、そうか……ではどうするか……」
「……あの、村長さん、そこから動いてもらうことってできますか?」
「む? まあ、それは構わんが……」
「大丈夫なんですね。それじゃあ行きましょうか、村長さん」
「……うむ……」
「……よし、この辺りなら大丈夫でしょう。それでは村長さん、始めましょう」
村民達から離れ、静かな場所に移動した劉備と村長は、すぐに太守との交渉で話し合われた内容を共有していった。
「うむ。それでは劉備よ、始めてくれ」
「はい。まず最初に話しますが、太守様は馬車を作ることを許可してくださいました」
「おお、そうか。それは良かった」
「はい。そして次の話題ですが、太守様は馬車を作る時に馬車の部品を揃える手助けをするて言ってくださいました」
「おお、そうか! それも良かったな、劉備よ!」
「はい。それで村長、すぐにでも馬車作りを始めていこうと思うのですが、よろしいですか?」
「む? それは構わんが、なぜ確認をしてくる?」
情報の共有を終えた劉備と村長は、すぐに次の話題である馬車作りそのものについて話し合いをし始める。
「それはもちろん、今道作りをしている大工さんを馬車作りの方に引き抜きたいからです。それにはまず村長さんの許可をもらわないといけませんから」
「……ああ、そういうことか……ふむ……」
「駄目ですか?」
「……いや、大丈夫だ。しかしそういうことなら皆のところに戻らなければいけないな」
「はい。というわけですから村長、皆のところに戻りましょう」
「うむ、わかった。では戻るとしようか、劉備よ」
「はい!」
このやり取りで村人達が道作りをしている場所に戻っていった劉備と村長。
そうして大工を引き抜くと村人達に告げていくと、村人達から悲鳴があがる。
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