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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第四十八話

護衛役の村人達は約十秒間お互いの顔を見合わせたあとで劉備の言葉に返答をしていく。


「……とりあえず話を聞くまではわかったと答えることはできないんだが……」


「ああ。だからどんなお願いなのか、まずはそれを聞かせてくれないか?」


「わかりました。それではお話していきます。太守様達に馬車の説明をする時、多分ですけど村の怪我人や病人を運ぶのに良い方法がなかった、だから馬車を使いたい、そう話すことになると思うんですよ」


「ほう、なるほどな」


「……あれ? でも村から怪我人や病人を連れていったことはないよな?」


「……確かに、そう言えば……」


劉備の言葉を聞いた村人達の頭に疑問符が乱舞する。

そんな村人達に劉備は本題に入っていく。


「ここからがお願いになります」


「うん? ここからが?」


「はい。太守様達に行う説明のなかで、先ほどの私の言葉、怪我人や病人を運ぶのに良い方法がなかった、これを私が話したら、皆さんも私の言葉に同意してほしいんです」


「……ほう」


「……しかしそれは……」 


「ああ、太守様に嘘を吐くことになるんじゃあないか……?」


劉備から虚偽の報告に協力するように頼まれた村人達は、全員が表情を歪めながら否定的な言葉を口に出す。

しかしそんな村人達に劉備は、非常に悪い笑顔を見せながら村人達に次の言葉を掛けていった。


「ああ、それは心配しなくても大丈夫ですよ」


「……は?」


「ん? それはなんでだ?」


「バレなければ良いだけですから」


「……え?」


「バレなければ嘘は嘘になりませんから」


「……ええ……」


「つまり、皆さんが私の言葉に反対しなければ太守様達にもバレることはないわけですから、こうして皆さんにお願いをしているんです。引き受けてもらえますか?」


このように劉備から頼まれてしまった村人達は、再度お互いの顔を見合わせていく。

そんな感じで迷いを見せる村人達に、劉備はさらに別の言葉を掛けていった。


「……まあ、皆さんが協力してくれないとなった時は、最悪の場合私は捕まってしまうわけで……」


「……え?」


「もしもそうなってしまったら、村の発展は私が自由の身になるまで止まってしまうことになりますね……」


「う……」


「それで皆さんが良いと言うなら、私は構いません。ですが……」


「で、ですが……?」


「村にいる皆さんは許してくれますかねぇ……?」


「うぐ……」


劉備の言葉、というか脅しを受けた村人達は、全員が最悪の事態になった時の想像をして顔色を悪くしていく。

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