少女期 第四十六話
劉備は太守が護衛達にも誓いの言葉を話し、その言葉を護衛達も聞き入れたことから護衛達にまた部屋から出て待っているように頼んでいく。
これを護衛達が二つ返事で受け入れると、太守に挨拶をしてからそそくさと部屋の外に出ていった。
「……よし、これで皆も太守様の誓いの言葉を聞いたという証言者になりましたね」
「ああ、そうだな」
「これで私も安心しました。ありがとうございます、太守様」
「……うむ。それでは劉備よ、すぐに話のほうを再開させようか?」
「その前に護衛の皆さんにはまた外に出ていてもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、わかったぜ、玄ちゃん」
「それでは太守様、失礼をいたしました」
「失礼ではないぞ、助かったからな」
「そんな……もったいないお言葉です、ありがとうございます」
「はは、良いさ。それではまた外で待っていてくれ。頼んだぞ」
「はい」
こうして護衛達が再度外に出ていったことでまた部屋に二人だけの状況になった劉備と太守。
ここで先に太守が口を開く。
「……さて、これで話してくれるな、劉備よ。そなたの頼み事を」
「はい、太守様」
「うむ。それでは話してくれ。今回の頼み事を」
「はい。ですがその前に一つだけ確認したいことがあります。よろしいですか?」
「……ふむぅ、焦らすのう……」
ようやく劉備から頼み事を聞けるかと思っていた太守が、そう話して劉備から頼み事を聞く前に行われた質問に、あからさまな不満の声を漏らしていった。
これに対して劉備がこれからの質問が頼み事に直結することだから、と言って太守に断りをいれてから話し始める。
「申し訳ありません。ですがこの質問はこれから話す頼み事に深く関係することですから、どうか御容赦を……」
「ふむ、そうか……わかった、では質問を受けよう。なにを聞きたいのだ?」
「ありがとうございます。それでは質問しますが、太守様は馬車をご存知ですか?」
「む? 馬車? うむ、まあ……話に聞いたことがある、というぐらいだが」
「そうですか……実は頼み事というのはその馬車を作って使いたい、というものなのですが、どうでしょうか?」
「ふむぅ、そうか馬車か……なるほどな。ふむぅ……」
劉備はついに太守へ、馬車を作って使いたい、という頼み事を伝えていった。
これに馬車のことをよく知らない太守は曖昧な言葉を口にして許可したとも不許可であるとも言えない返答をしていく。
これに劉備が首を傾げていると、太守が続けて劉備に話し掛けてきた。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




