少女期 第四十三話
太守の元に向かった劉備達だったが、もう何回も行き来している道であるため、なんの問題も起きないまま太守の元に到着することができた。
そのまま太守への面会許可を申請した劉備達に、文官達が声を掛けてくる。
「ふぅ、さすがに張角殿達の拠点に行くよりは簡単でしたね」
「そりゃあまあ、そうだろ? なあ?」
「こっちの道は慣れた道だからな」
「そうそう。あんな初めて行くような場所と一緒にされたら困るぜ、玄ちゃん?」
「ふふふ、そうですね……おや?」
「失礼、劉備玄徳はいるかな?」
「あ、はい、私です」
「む、君か。太守様から面会の許可が出たぞ。だからついてきてくれ」
「あ、はい、わかりました」
予想していたよりも早く面会の許可が出たことに驚きながらも、劉備達は文官についていって太守のいる部屋に向かっていく。
そうして向かった部屋はいつも太守と会っているところではなく、太守の私室であった。
「こちらです、どうぞ」
「あれ? この部屋なんですか? いつもの場所ではなく?」
「ええ、太守様がこの部屋に連れてくるようにと言われましたので……」
「そうですか……わかりました、ありがとうございます」
「いえいえ。それでは私はこれで……」
自分達を案内してきた文官が立ち去っていく様子を見ていた劉備達が、部屋のなかで待っているはずの太守に声を掛けていく。
「太守様、おられますか? 劉備です」
「おお、劉備か、待っていたぞ。遠慮せずに入ってくるといい」
「わかりました。それでは失礼させていただきます」
太守から入室の許可をもらった劉備が部屋に入っていった。
すると部屋のなかには、椅子に座って寛いでいる太守の姿があり、部屋に入ってきた劉備に対して太守が手を上げながら劉備達に挨拶をしてくる。
「おう、待っていたぞ、劉備よ。それと護衛のもの達もご苦労様だった」
「ありがとうございます、太守様」
「お褒めに預かり光栄に思います、太守様」
「うむ。さて護衛のもの達よ、ここからは劉備と二人で話がしたい。悪いのだが部屋の外で待っていてくれないか?」
「わかりました。では劉備、またあとでな」
「はい、またあとで」
太守の言葉に従って部屋から出ていく護衛達に頭を下げていく劉備。
こうして部屋に二人きりで残った劉備と太守の話し合いが始まった。
「久しぶりになるな、劉備よ」
「そうですね、太守様」
「うむ。それで今日はなんの用なのだ? 劉備よ」
「はい、太守様。実はまたお願いしたいことができまして……」
太守の問い掛けに劉備は、若干言いにくそうに答えていく。
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