少女期 第四十一話
劉備は誓いの言葉を地面に書き終えるとすぐに張角へ見せていき、張角に合格をもらえるかと尋ねていった。
「……よし、これで誓いの言葉が書き終わりました」
「ふむ、どれどれ……? ……ほう、もしも劉備玄徳が約束を破り、太守やその配下達に張角一派の情報を話した場合、この村にいるすべての住人を張角一派の労働力として提供する、か……なかなか面白い誓いの言葉だな」
「な、なにっ⁉ すべての住人だと⁉」
劉備が書いた誓いを張角が読み上げたところ、劉備からどのような誓いを書くかを聞かされていなかった村人達が驚愕の声をあげていく。
そんな村人達の絶叫を半分無視する形で、張角が誓いの言葉の続きを話していった。
「村人達よ、驚くのは今からだぞ?」
「……え? 今から?」
「……これまでの誓いでもかなり驚かされたんだが、もっとひどい誓いの言葉が書かれているのか……?」
「ああ。それでは覚悟はいいか? 今から話していくぞ?」
「え⁉ いや、まだ……」
「……やはり時間がなくなりそうだからもう言うぞ?」
「おい待てー⁉」
張角は村人達の返事をあえて無視して、すぐに誓いの言葉を村人達に伝えていく。
「この誓いの言葉を消した村人がいたら、その時も村人全員を張角一派の労働力として提供する、だそうだ。村人達よ、この誓いは消さない方が良いらしいぞ?」
「ひ、ひえっ⁉」
「な、なんてことを……」
張角から誓いの言葉になにが書かれているのかを聞かされた村人達は次々と悲鳴をあげていった。
そんな村人達に劉備が平然と声を掛けていく。
「どうしました、皆さん? そんなに大きな声を出して……?」
「いや、大きな声は出すだろう⁉ なにもわからない間に恐ろしい約束をさせられたんだぞ⁉」
「皆さんがこの誓いを消さなければ村に悪いことはなにも起きないですから、大丈夫ですよ。それとも村人のなかにそんな悪いことをしようと考えている方がいるとでも?」
「い、いや……」
「そ、そんなやつはいないさ……」
劉備の発言を聞いた村人達が声を荒げていくが、続く劉備の発言で村人達は全員が歯切れ良い発言が出来なくなってしまう。
そんな村人達の様子を見届けた劉備が、今度は張角に声を掛ける。
「……なんとなく皆さんの元気がなくなった気がしますが、まあ良いでしょう。それでは続けて張角殿」
「む? なんだ?」
「村人達がこの誓いを消さないことは確実になりました。ですから次は張角殿達の番です」
「うん? どういうことだ?」
劉備の声掛けを受けた張角は首を捻っていく。
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