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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第三十九話

劉備から尋ねられた母は、見に行くかどうかでしばらく悩んだあとで見に行くことに決め、劉備の準備が終わったところで劉備と一緒に村長の元に向かっていく。

そこで行われる劉備と村長のやり取りを見ることになった母は、あとで村長に謝りに行くことに決めた。


「お待たせいたしました、村長さん」


「おお、来たか劉備よ。うん? 母も一緒なのか?」


「はい。普段私がどのように村長さんや村の皆と話をしているかが気になったそうですから、直接その現場を見てみますか? と尋ねたのです」


「ふむ、それで首を縦に振ったと。そういうことかな?」


「ええ。あとは玄徳が皆さんに失礼なことをしているようなら、私が玄徳の代わりに謝罪して回ろうかと考えております」


自分がこのように発言していけばある程度は劉備の自由度が下がるだろうと思っていた母は、このあとの劉備の言動からこの程度では止まることがない、と理解することになる。


「ふむぅそうか。ではそこで眺めているのが良いだろう」


「ありがとうございます、村長さん。それでは玄徳、いつも通りにやってみなさい」


「わかりました。それでは村長さん、事前に話していた通り、私がいない間にやっておいてもらいたい道作りについて話しますね」


「ふむ、道作りの方か。馬車作りではないのだな」


「馬車作りは太守様から作っても良い、という許可をもらわないまま作り始めたら太守様に怒られる気がします。ですから道作りです。これなら太守様にも怒られないはずですから」


「……本当か? 本当に大丈夫なのだな? もし間違っていたら太守様から怒られるのは劉備ではなくこちらなのだからな?」


「わかっていますよ。ですから道作りの方を優先するように提案したのです」


「……あれはそういうことだったか……わかった、劉備よ。それで道の作り方なのだが、前回村の道作りをした時と同じやり方で良いのかな?」


「ええ、あのやり方でお願いします」


「そうか、わかった。それでは始めるとするか……」


「はい、お願いします」


村長との話し合いで馬車作りよりも道作りを優先させる方針を決めたあと、村長が若干嫌そうな声色で道作りを始めると口に出していった。

そんな村長を苦笑いを浮かべながら眺めていた劉備だったが、いつまでもこうしていて太守の元に向かう時間が遅くなってはいけないと考え、村長や母達に太守の元に向けて出発すると伝えていく。


「……いろいろと言いたいことがありそうな感じがすごく伝わってきますが、私の方も太守様の元に向かわないわけにはいきませんからそろそろ出発しますね」


「……そうか、わかった。気を付けてな」


「……ええ、気を付けてね、玄徳」


「はい!」


村長と母からの言葉に答えた劉備が、馬に跨がっていった。

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