少女期 第三十四話
劉備達の村へと向かった一同であったが、出発した当日だけでは当然ながら村に到着することができなかった。
そのため一同は道中にある村々で三回ほど宿泊しつつ劉備達の村に向かっていった。
そうして張角達の拠点を出発してから四日後、遂に劉備達は自分達の村に張角達を連れて帰ることに成功する。
「……ふぬぅ、劉備よ、まだ到着せんのか?」
「そう焦らないでください。多分もうすぐ見えてくるはずですから」
「ふむぅ……む? もしかして、あれかの、劉備よ?」
「……ええ、そうですね。ようやく村が見えてきました」
「やれやれ、ようやくか。思っていたよりも長旅になったのう」
「あははは……そうですね……」
村の入り口が見えてからそのような会話を交わしていた劉備達が遂に村に入っていくと、劉備達が近付いてきていることに気付いた村人達が出迎えをしたり、村長や旅人達を呼びにいったりをして歓迎をしてくれた。
これに劉備達はもろ手をあげて喜び、約束通りに張角を連れて帰ってきてくれたとわかった旅人達は、劉備達に涙を流して感謝の言葉を伝えてくる。
「ま、まさか本当に大賢良師様を連れてきてくださるとは!」
「これで村にいる怪我人達や病人達を治してもらえます!」
「ありがとう! 本当にありがとう!!」
「あはは、そんな大袈裟な……」
「大袈裟なんかじゃないさ。本当に村の怪我人達や病人達の命の恩人なんだから……」
「……そうですか。でも今はまだ命の恩人にはなれていません。このあと張角殿一同が皆さんの村に行き、怪我人達や病人達の治療を終えて初めて本当の命の恩人になれるのです。というわけですので、張角殿、あとのことはは任せましたよ?」
泣いている旅人達を前にして、張角にそう話し掛けていった劉備。
こうしてあとを任される形になった張角だったが、劉備達の村に到着したばかりですぐに旅人達の村に向けて旅立つには疲労があり過ぎる、とのことで出発は翌朝になった。
そんなこんなで張角達の出発が遅れたのとは反対に、劉備達はすぐさま太守の元へ向けて出発していく。
「……劉備よ、本当にすぐに行く気でいるのか?」
「はい、村長さん。急いで行って急いで許可をもらわないと間に合いませんから」
「ふむぅ、そうか……また無茶をするのだなぁ……」
劉備の覚悟を聞いた村長はそう言って目を閉じていった。
そんな村長に劉備は悪い笑顔をしながら話し掛ける。
「なにを言っているんですか。村長さん達には私がいない間にやってもらわないといけないことが二つあるんですよ? 悠長にしてもらっていては困ります」
「え?」
劉備の発言を聞いた村長は目を丸くした。
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