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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第二十八話

張宝の表情を観察しながら話していた劉備は、少しずつ変わっていく張宝の表情から、張宝が自身の話を非常に胡散臭いものだと判断して聞いているものだと理解していき、どうにかそれを払拭できないかと張宝に尋ねていく。


「……私の話を、簡単には受け入れられない、といった表情をされていますね?」


「……当然だろう。重要なところは詳しく話さずに、あるもの、と言ってみたり、そう思う、など確定できない言葉を使うばかりなのだからな。これをどう信用しろと言うのだ?」


「……そうですか……仕方ないですね、わかりました」


「わかった? なにをどうわかったというのだ?」


このまますべての情報を伏せたままのやり取りでは張宝を納得させることができないと判断した劉備が、一部の情報を張角、張宝兄弟に話すことを決意した。


「先ほどの話で隠していたあるものがなんなのか、それをお二人にお話します」


「……ほう?」


「ふむ……」


「こうすれば信用してもらえるのではないかと思って提案させてもらいました。いかがでしょうか?」


「……まあそうだな、具体的な案を聞ければそなたの言葉を信用できるようになるかもしれん」


「……かもしれない、なのですね……まあ信用してもらえていない今の状況よりは良くなるだろうと期待する仕方ないですねぇ……」


「なにをぶつぶつと言っている? 早く話さんか」


「……はい」


自身の話を聞いた張宝の対応に劉備は閉口しかけたが、一度話すと言ったこともあっておとなしくあるものの情報を正直に話していく。


「それではあるものの話をしますが、そのあるものとは馬車のことです」


「……馬車?」


「馬車とはなんだ、劉備よ?」


「馬車とは文字通りと言いますか、車輪がついた人が乗る乗り物を馬に引っ張らせて進む乗り物のことです」


「……ふむう、そんなものが……始めて聞いたな……兄者はどうですか? 聞いたことがありますか?」


劉備からあるものの正体、馬車の話を聞かされた張宝はそのように言って張角に尋ねる。

これに張角は記憶を探りながらゆっくりと答えていった。


「……そうだのう……ないような気が……いや、待て」


「うん? 兄者?」


「……ああ、もしかしたらあれか? 若い頃、修行時代に聞いた、秦の始皇帝が使っていたという……」


「そうです、その馬車です。その馬車を使おうと思っています」


「ふむふむ、なるほどのう。しかしその話を太守が許すか?」


「許すか許さないかの問題ではありません。これも先ほど話しましたが、私は太守様からできる範囲での褒美をもらえる約束をしています。無理矢理にでも許してもらいますよ」


「……ぷっ……くっくっく……あーっはっはっは!!」


劉備の説明を聞いた張角はこのように大笑いする。

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