少女期 第二十六話
「……あ、そうだ。こういう案はどうですか?」
「む? なにか思い付いたのか? 劉備よ?」
しばらくの間、なにか良い案が浮かばないかと考えていた劉備達だったが、ついになにかを思い付いたらしい劉備が声をあげていく。
そんな劉備に張角が難しい表情で問い掛けていき、これに応じて劉備が案を話していった。
「とりあえず張角殿は一度私達の村に来ていただいて、滞在してもらっている旅人達と接触していただき、その旅人達の村に向かっていただく。とりあえずここまではいいでしょうか?」
「……うむ、とりあえずここまではな。では続きを話してくれ」
「はい。そしてその村に到着したあとは、すぐに治療しなくてはいけない病人や怪我人を治療する。そのあとはすぐにここまで戻ってくる。これでいかがでしょうか?」
「いや、ちょっと待て。それだとすぐに治療しなくてはいけない病人や怪我人以外のものを治療できない。そのもの達は見捨てろと言うのか?」
劉備の説を聞いた張角はそう言って劉備に詰め寄ってくる。
そんな張角に劉備は更なる説明を始めた。
「いえ、そのようなことを提案するつもりはありません。時間に余裕のある病人達や怪我人達には故郷の村から一旦私達の村に移動してもらい数日間休んでもらって、そのあとでここの拠点に移動してもらい、それから張角殿に治療していただてから元の村に帰ってもらう。この案はいかがでしょうか?」
「ほう、なるほど。わしがその村で全員を治療せずに最低限の治療に止め、残りのものにはここに来て治療を行うようにする、か。確かにそれならわしがここを留守にする期間を最小限にできそうだな……この話、お前はどう思う、宝?」
劉備の提案を聞いた張角は一度大きく頷くと張宝に感想を求めていく。
これに対して話を振られることになった張宝は思案顔で腕組みをしながら感想を話していった。
「……そうだな……案自体は悪くないと思う」
「おお、そうか! お前もそう言うなら……」
「だがいろいろと問題がある。それはどうするつもりだ?」
「……うん? 問題? なにかあるか?」
感想を求められた張宝が話した内容に対し、張角が不思議そうな表情を見せながら張宝に聞き返す。
これに張宝は難しい表情でその問題点を話していった。
「ああ。まずはこの話を我々だけで決めてしまっていいのか、という問題がある。これについてはどう考える?」
「それですか。とりあえずは村に帰った時に丁寧に説明して理解してもらう、これしか解決策はないと思っています」
「……なるほどな。では次だ」
「はい」
張宝の言葉に、劉備は姿勢を正していく。
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