少女期 第二十二話
男からの確認を受けた劉備達は、それぞれが互いに顔を見合わせて頷くと、男の言葉に返事をしていった。
「……はい、お願いします」
「よし、わかった」
劉備達の返事を聞いた男が扉を開いていく。
そうして男は小屋のなかに声を掛けていった。
「大賢良師様、失礼いたします。ただいまこの地のことを探っていた不審な者共を連れてきました」
「……やれやれ、またか。最近そういう連中が増えてきたな」
「まったくですな。それで? その不審な者共はどのような言い訳を話している?」
男の声掛けに対して小屋の奥から声が返ってくる。
この声に劉備は、ひとりは張角本人のものだと判断ができて安心していく。
その一方で男が問い掛けに返答をしていった。
「はっ、それが……そのことなのですが、不審な者共のひとりが、大賢良師様と面識があると口にするもので……」
「ほう、わしと面識がある、と?」
「はい……」
「……ふむ……兄者、心当たりはありますか?」
「さあなあ……治療したものを含めれば面識のあるものは数百人以上になるだろうしなぁ……そのなかの誰かと言われても……」
張角は弟の問い掛けにそう答える。
この会話を聞いていた劉備は、
(弟って言ったな……ということは張宝か張梁のどちらか、それか兄弟三人が勢揃いしている可能性もあるな……)
このように予想していった。
その一方で張角達は面識があると話した人物を呼び寄せ、直接顔を見て判断することで話がまとまっていく。
「むう、そうか……ならばどうするか……」
「いや、待て。そのものをここに連れてくることはできるか?」
「む? 兄者?」
「はい、できます。というかその本人が大賢良師様と会って証明したいと話しているので……」
「……ほう? わしと会って証明したいと……」
「はい」
「……ふむ……」
「兄者、どうするつもりですか?」
弟の問い掛けにすぐには答えず、少しの時間考えたあとで答えていった。
「……わかった、会おう」
「そうですか、理由は?」
「向こうはわしのことを知っているんだろう? それなら話しているうちに、なにかを思い出すかもしれないからな」
「……ふむぅ、そうですか……しかし大丈夫ですか?」
張角の決断を聞いた弟はそのように尋ねて張角の身を心配していく。
そんな張角と弟に、劉備達を連れてきた男が声を掛ける。
「……あ、あの、大賢良師様、そのものなのですが……」
「うん? どうした?」
「それが、大賢良師様と会ってすぐに思い出されなかった時は、すぐに処刑してもらって構わない、そう言っていまして……」
「なに?」
張角と弟は思わず顔を見合わせていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




