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新訳三國志演義  作者: 篠原2
少女期

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少女期 第十九話

男の質問に劉備が一同を代表して説明を始めていった。


「わかりました。それではお話します。今私達の村に別の村から数人の旅人がやってきて滞在しています」


「ふむ、それで?」


「その旅人達が私達の村にやってきた理由が、自分達村に怪我や病気で苦しむものがいる、その怪我や病気を治すために張、あ、いや、大賢良師様様を探して私達の村に来た、と」


「大賢良師様が、お前、ごほん、君達の村にいると? なぜそのような嘘が……?」


劉備の説明を聞いていた男はそう言って考え込んだのだが、劉備は説明を続けながらその理由を話していく。


「それは大賢良師様が私達の村にしばらくの間滞在していたからだと思います」


「……なに? 大賢良師様が、君達の村に滞在していたと?」


「はい。大賢良師様から劉備玄徳、という娘の話を聞いたことはありませんか?」


「……劉備玄徳……ああ、そう言われれば確かに……」


「その劉備玄徳が私です」


「なにっ? 君が?」


「はい」


「……ふむぅ……」


「……信じていませんね?」


「……それはまあ……いきなりそんなことを言われても、なあ……」


劉備の話を聞いた男が胡散臭そうに劉備を見ていく。

そんな男に劉備はある提案を行った。


「それでははっきりさせましょうか?」


「はっきりさせる? どうやって?」


「私達を大賢良師様のところまで案内してください。そこで大賢良師様が私のことを知っていたら私の言葉が正しかったと証明できます」


「……君の言葉が間違っていた時は?」


「役人に捜索されているんですよね? だったら情報が広まらないように殺していただいて構いません」


「なにぃっ⁉」


「ええっ⁉」


劉備の提案を聞いた男と護衛達はそれぞれが絶叫する。

そんな大人達を尻目に、劉備は男に言葉を続けていく。


「さあどうしますか? あなたが案内してくれないというなら私達は自力で大賢良師様のところに向かうだけになります。そうなった場合、私達のことを嗅ぎ付けた役人が私達のあとを追って大賢良師様の所在を突き止めるかもしれませんよ?」


「……我々を脅迫するつもりか?」


「脅迫ではありません、起こりそうな事態を予想して話しているだけです」


「む、むう……」


劉備の言動を受けた男が苦しそうに唸り声をあげる。

そんな男を見ながら、劉備は黙って考えを巡らせていく。


(さて、どう判断するか……できれば脅迫に負けて案内をすると言ってくれれば私達の手間が省けるんだけど……)


唸り声をあげる男を、劉備はそう考えながら冷静に眺めていた。

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