幼少期 第二百一話
劉備の話を聞いた太守達は、困惑しながらも劉備に尋ねる。
「……そんな物を褒美に欲しがるとは……まさか村の罪人を処刑するのに使うつもりか……?」
「いえ、違います。まったく違う用途にするつもりでいます」
「……釜茹での刑に使う釜を……まったく違う用途で……? 正直に言って、我々にはあれを釜茹での刑以外での用途がまったく思い付かんのだが?」
劉備の返答を聞いた太守が疑問を深めていくなか、劉備が太守達に詳細を隠しながらその用途の施設が完成し、試験運用が終わったあとに太守達を村に呼んでその施設を使ってもらうことを提案していった。
「普通なら私にも思い付きませんでした。ですが今からずっと前に亡き兄上が夢枕に立ちまして、その用途を教えてくださったのです」
「ほう、なるほど。そういうことであったか。ということはそなたの兄は相当に優秀な人物であったのだろうな」
「あ、いえ、兄上は死後の世界の技術を私に教えてくれただけで、優秀な人物というわけではなかったようです……」
「そ、そうか、それはその、なんというか、すまなかった」
「いえ、大丈夫です、太守様。それよりもいかがでしょうか、釜を褒美にいただけますでしょうか?」
「……ふむ……」
「もし褒美にいただけるのでしたら、その釜を使った施設を作り、私達が試してなにも問題なく使えるようでしたら、太守様達にもその施設を使っていただこうと思うのですが……?」
「……ふむぅ……」
劉備の提案を聞いた太守が、少し考えたあとで劉備に釜茹での刑に使う釜を褒美として与えるかを決めていく。
「……よし、わかった。劉備よ、そなたの望む通り、褒美は釜茹での刑に使う釜にしよう。それもここにあるだけな」
「本当ですか!? ありがとうございます、太守様!」
「ただし、その施設とやらを試してなにも問題がなければ、我々にもその施設を使わせてもらうぞ」
「はい、わかっています」
「うむ。それではお主ら、釜をもってまいれ」
「はい、了解いたしました」
太守の指示を受けて兵士達は釜を保管しているであろう倉庫に向かい、なかにあった釜をすべて持って帰ってきた。
こうして持ってこさせた釜を前に、太守が兵士達に確認を行なったあと、劉備に告げる。
「釜はこれですべてか?」
「はい、そうです太守様」
「そうか、わかった。さて劉備よ」
「はい、太守様」
「そなたの願い通り、この釜のすべてを褒美としてそなたに与える。良いな?」
「はい、ありがとうございます、太守様」
「うむ。それでは気を付けて帰るようにな」
「はい!」
こうして劉備は釜茹での刑に使う釜を褒美として受け取っていった。
閲覧、感想、評価ポイント、ブックマーク登録、いいねありがとうございます!




