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新訳三國志演義  作者: 篠原2
幼少期

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幼少期 第百九十五話

村人達に返答を行なった劉備は、ここで今一番気になっていることを村人達に尋ねてみた。


「それではひとつ聞いてみたいことがあるんですけど、大丈夫ですか?」


「うん? 聞いてみたいこと? なんだい?」


「今年の収穫量なんですけど、去年と比べてどうだったのかな、って思って。どうでしたか?」


劉備の質問を聞いた村人達は、互いに顔を見合わせると次々に首を横に振っていき、最終的に村人達の代表者ひとりが劉備に結果を伝えていった。


「ここにいるみんなはわからないらしい。こうなると村長さんのところに行って聞いてみるしかないんじゃないかな」


「そうですか……わかりました。それでは村長さんのところに行ってみます」


「俺達もついていくよ」


「そうですか、わかりました。ありがとうございます」


村人達の申し出に笑顔で返した劉備が、村長達が集計作業を行なっている現場に向かっていく。

そうして村人達を引き連れる形なった劉備が集計作業の現場に辿り着いてみると、作業を行なっていたとみられる村長達が全員泣いているところを目撃することになった。

これに劉備は困惑しながらも村長達に近付いていき、今年の収穫量が去年と比べてどうなっているかを質問していく。


「……あの、村長さん、みなさん、どうも……」


「……うん? おお、劉備か。どうしたのだ?」


「どうしたのかは私が聞きたいところなんですが……それよりも先に聞きたい事がありますので、それから聞かせていただきます」


「聞きたいこと? 一体なにを聞きたいのだ?」


「今年の収穫量が、去年と比べてどうなっているかを聞きたいのです」


「おお、そのことか! 我々も今そのことで泣いていたのだ!」


「……え? 私が聞きたいことで泣いていた? ということは去年よりも収穫量が減っていたんですか?」


不安そうにこう尋ねた劉備に、村長は大笑いしながら返答してきた。


「いやいや、増えたんだよ! 去年よりも今年の方が!」


「増えたんですか! それは良かった! 村長さん達が泣いているから収穫量が減ったのかと思って焦りましたよ!」


「いや、すまなかった。あまりの嬉しさに思わず泣いてしまったよ」


「……そうなんですね。ということは四倍とか五倍とかに増えたんですか?」


「いやいや、さすがにそこまでは増えていなかったよ。確か一・五倍ぐらいかな? 増えたのは……」


「一・五倍ですか? それだと泣くほど喜ぶようには感じないんですけど……?」


村長の言葉を聞いた劉備が、首を捻りながら村長達に尋ねていく。

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