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新訳三國志演義  作者: 篠原2
幼少期

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幼少期 第十六話

母が寝室から出て食器を洗いに行くのを確認した劉備は、


「…よし、これでしばらくは自由に考え事が出来るね」


と、言うと様々な事を考え始めたのであった。

まず劉備は、


「とりあえず発火器と濾過装置を村全体に普及させる計画は九割成功と見ていいかな。後は発火器と濾過装置が村人全員に行き渡れば良いだけだし。発火器と濾過装置はもう心配しなくてもいいかな」


と、言ってうんうんと頷いたのである。

そして劉備は続けて、


「それより問題なのは村人みんなの反応かな。予想通り妖術使いとか言われたし。まあしばらくの間は本物の劉備のあの世からの助言という事でごり押ししていきましょう」


と、言うと劉備は一呼吸置いて、


「…それにしても妖術使いか…。これまでは、そんな人いるのかな~、ぐらいだったけどやっぱりいるんだねぇ…」


と、言って少し考え込むと、


「…妖術使い…そう言えばこの時代の妖術使いと言えば張角がいたな…。…やっぱり黄巾の乱は起きるのかな…。もしそうなら今から色々と備えておかないとね…」


と、言って史実三國志最初期の重要人物の一人である張角の事と張角が関係する史実三國志最初期の重要イベント、黄巾の乱について、そして黄巾の乱をどのように切り抜けるか、考えを巡らせたのである。

そうして劉備は、


「戦乱が起きるとわかっているならまずは食料の増産かな?そうなるとやっぱり定番のお米の収穫量増大計画を実行しないといけないよね。そうそう、こういうので良いのよ。さてお米の収穫量増大計画に必要な物は…」


と、言ってしばらく黙って考え込むと劉備は、


「………あ、そういえば思い出した。確か昔の中国ってどこかのラインから米食と麦食にはっきり分かれてた。…え~とどこだっけ…確か…」


と、言って重要な事実を思い出したのである。

その上で記憶の中から引っ張り出した情報は、


「…思い出した。確か秦嶺・淮河線って言ってその南北で分かれてた」


このような物であった。

さらに劉備は続けて、


「それで北側が麦食で南側が米食だったはず。って事は多分この辺り、と言うか河北全域は麦食地帯になるはずだ。そうなるとこの辺りではお米作りが出来ないって事になる…。…これは…どうする…?」


と、言ってまたしばらく考え込んだのである。

そうして劉備は、


「…とりあえずしばらくの間は麦でなんとかするしかないな。確か麦にも塩水選が使えたはずだし。そうやってひとまずは麦の収穫量を底上げしている間にお米の品種改良を進めるしか無いな…」


と、言って当面の計画を口にしたのであった。

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