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新訳三國志演義  作者: 篠原2
幼少期

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幼少期 第百七十三話

少しの間話し合って考えた李良達が全員一緒に文字の読み書きを教わりたいと劉備に話してくる。

それに答えて劉備が李良達にも問題を出していった。


「みんなで話し合って、全員文字の読み書きを勉強したいとなったから、玄ちゃんよろしくお願いします」


「わかりました。それでは李良さん達も一緒に勉強していきましょう」


「ああ、頼むよ」


「はい。それでは最初に聞きますけど、皆さんは文字の読み書きはどのぐらいできるのですか?」


「……え?」


「え? ではなくて。どれぐらいですか?」


「そ、それは……」


劉備の質問に即答できずに言葉を詰まらせる李良達。

そんな大人達の様子を見て彼らの事情を察した劉備が、あえて言葉に出して彼らの事情を指摘していく。


「なるほど、わかりました。皆さんも文字の読み書きがまったくできないのですね?」


「はぁ!? いや、そんなことはないぞ! なあみんな!?」


「おう!」


「ああ!」


劉備の指摘を受けた李良達が必要以上の大声で劉備の指摘を否定してきたのだが、そんな李良達に劉備が問題を出した。


「ほう、文字の読み書きがまったくできないことはないと。それでは問題を出します。文字の読み書きがある程度できるなら簡単にわかる問題を、ね? 良いですよね?」


「……お、おう、大丈夫だ」


「それではいきます。私が文字を書くので李良さん達は私がなにを書いたかを当ててもらいます」


「あぁ、わかった」


「いきます」


そう話した劉備が地面に、彼を知り己を知れば百戦殆うからず、と(中国語で)書いていき、書き終わったところで李良達にどう読むかを尋ねる。


「できました。さぁ読んでください」


「……えー……」


「……あー……」


「……う、うぅ……」


「読めないじゃないですか」


「げ、玄ちゃんはどう読むのかわかるのかよ!?」


「当然わかりますよ」


「じゃあなんて読むんだよ」


「彼を知り己を知れば百戦殆うからず。孫子の言葉です」


「そんなこと言われても正しいのかどうかもわからねぇよ……」


正解を聞いてもピンときていない李良達に、劉備が最後通告を行う。


「とりあえずこれで李良さん達が文字の読み書きができないとわかったので、子供達と同じ問題を出していきます。それで良いですね?」


「……わかりました……」


「よろしい。それでは始めますね」


そう言って李良達にも文字の読み書きを教え始めた劉備。

この劉備の青空教室には徐々に人の姿が増えていき、最終的には村人全員が基本的な文字の読み書きを習得するまでになっていったのである。

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