幼少期 第百六十四話
夕暮れの中を連れ立って歩く劉備と村長は、劉備の家に到着するまでの間にも様々な村を発展させるための会話を行い、家に到着した。
「ふむ、洞窟を掘ってそこに雪を詰め込めば食料の長期保存ができる、と。なるほどなるほど」
「はい。雪室という知識だそうです」
「そうか、それもできる限り早くできるように考えていくとしよう」
「よろしくお願いします。雪室が使えるようになったら夏の暑い日に溜め込んでいる雪をかじったりもできるようになりますよ」
「ほう、それはまた夏の日が楽しみになりそうな情報だな」
「そうでしょう? そのまま雪室の中で涼むこともできますよ。ただし閉じ込められないように気を付ける必要がありますけど」
「ふ、ふむ、そうか……それではその時がきたら気を付けて中入ることにしようか」
「それが良いと思います」
「ふむ、そうか。それで劉備よ、雪室の話はまだ続くのかな?」
「いえ、とりあえずは終わりました」
「そうか。では次の話を……おや?」
「あ、母上だ」
家に近い場所まで戻ってきた劉備と村長は、家から少し離れた場所まで劉備の様子を見に来ていた母の姿を見つけ、その母に近付いていく。
こうして近付いてきた劉備と村長に母が話し掛ける。
「やっと戻ってきたのね、玄徳。待っていたわよ。村長さんもお疲れ様です。玄徳を送っていただいてありがとうございます」
「あ、ああ、いや、気にしないくれて大丈夫だ」
「そうですか……それにしても今日はずいぶん遅くなったのね、玄徳。心配したのよ?」
「申し訳ありません、だんだんと作業が楽しくなってしまって、気が付いたらこんな感じになっていました……」
「まったくもう、あなたって子は……」
母がこう話して劉備に注意をしてきたところで、約束通りに村長が母の言葉を止めにいき、劉備が帰宅の準備を始めるまで話していく。
「いや、それについてはこちらも謝らなければならない。劉備を始めとした子供達はもっと早くに家に帰すべきだった。すまなかった」
「そんな、村長さんが謝るようなことではないでしょう」
「いやいや、こちらが計画した作業だったから、こちらが謝るのは当然のことだよ」
「そうですか……わかりました。ほら、玄徳も村長さんにお礼を言いなさい」
「はい、母上。村長さん、今日はありがとうございました」
「うむ。それでは今日はこの辺で。本音を言うともう少し話したかったのだがな……」
劉備のお別れの挨拶を聞いた村長がまだまだ会話し足りないと名残惜しそうに話してきた。
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