幼少期 第百五十八話
部屋に入ってきた李良達は、村長の家に劉備がいることに驚いた。
驚いたのだが李良達全員が、
「まあ劉備だし」
そのように考えてこれ以上深く追及せず、村長になぜ呼び出されたのかを尋ねていく。
「村長さん、それに劉備、おはようございます」
「うむ、おはよう」
「はい、おはようございます」
「……と、いって挨拶も終わったところで、今日はなぜ呼び出されたのかを聞きたいのですが、よろしいですか?」
「うむ、大丈夫だ」
「それではよろしくお願いします」
村長の許可が出たことを確認した李良が、村長になぜ呼び出されたのかを改めて尋ねる。
するとこの李良の質問に尋ねられた村長ではなく、劉備が答えていった。
「それでは説明しますね」
「あれ? 玄ちゃんが説明するのか? 村長さんじゃなくて?」
「はい、村長さんとはもう今日なにをするかの話し合いは終わっていますから、私が説明します」
「そうなのか……わかった、それじゃあよろしく頼む」
「わかりました。それでは説明を始めますが、皆さんに今日やってもらいたいことの一つ目は、今日とある作業を行うので、村の人達を村長さんの家に集めるために、村の人達を呼びに行ってほしいんです。お願いできますか?」
「……はぁ、呼びに行くのはわかった。任せてくれ。で、それはいいんだが、とある作業っていうのはなんだ? また新しい技術を教えてもらったのか?」
劉備の説明を聞いた李良達は劉備の頼みをすぐに引き受けた直後に、劉備が今日やろうとしている作業について尋ねてきた。
この質問に対して劉備は、今は軽く教えるだけに留め、詳しい説明は村人達を呼んできたあとに行うと李良達に告げていく。
「はい、そうです。ただ、今ここで説明をしてしまうと皆さんが集まった時にまた同じ説明をしなければいけなくなりますから、その技術、というか知識の名前だけ話すことにしたいのですが、いいですかね?」
「ふむ、わかった。それじゃ名前だけでいいから教えてくれよ」
「わかりました。その知識の名前は、麦踏み、と言います」
「ほう、麦踏みか。それをすると……っていうのは約束破りになるか」
「そうなりますね。ですから詳しい話を聞きたいのなら、村の皆さんを素早く集めてもらう必要がありますね」
「なるほど、わかった。それじゃあちょちょっと呼んでくるから、集め終わったら詳しい話、よろしく頼むぜ?」
「ええ、わかっています。それでは皆さん、お願いします」
「おう!」
劉備の言葉に力強い返事をした李良達は、勢いよく村長の家を飛び出していった。
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